2008.04.25 FRI
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
0
0
0
1
0
0
0
0
0
1
0
1
0
2
0
0
2
X
R
H
1
4
6
10

肥やし

 「制球が定まらない。フォアボールがすべてです。」一番目立たないロッカーの隅に自ら椅子を運び腰掛けると、吉川は申し訳なさをにじませながら今日のゲームを振り返り始めた。「球自体に勢いがあるのに、もったいない」と厚澤投手コーチが言うように、吉川の課題は常にボール先行の投球が続いてしまい、カウントを整えるための直球を痛打されることだ。今日も与えた四球は6。何とか打開策を見つけ出そうと、吉川本人はもとより、周囲も協力を惜しまない。

 「直接、話したいことがある。」登板へ向けての準備の仕方において手助けをしたいと、ライアン・グリンが吉川を呼び出したのが今から3日前のことだった。以前からグリンは「彼は将来、必ずこのチームの柱になる」と吉川の持つ才能を高く評価していた。登板間の調整をどう効果的にこなすべきか試行錯誤している吉川の力になれればと、グリンは自ら実践しているブルペン投球の手順を例に約40分も熱弁をふるった。「調子の良し悪しで球数や投げ方を変えるのではなく、首尾一貫した内容で毎回ブルペンをこなすのがよい」と、グリンはマウンドで見せる険しい表情からは想像もつかない穏やかな表情で吉川を見つめた。チームメイトとはいえ、二人は共にローテーションを担うライバル同士。しかし、若い吉川に惜しげもなく自分の経験を語るグリンは、まるで可愛い弟の面倒をみるよう。「僕はいつの日か日本を去るが、吉川はずっとファイターズをしょって立つ存在。彼が一人前になるためには、僕は何でもするよ」とグリン。言葉の壁や人種の違いなど、ちっぽけなものだと言っているかのようだった。

 長い会話の翌日、ブルペンで調整するグリンの様子を吉川が自ら志願して見学に来た。マウンドの横に椅子を用意し、半分腰掛け身を乗り出し、じっとグリンの投球を凝視していた。何かをつかもうとする吉川の気持ちが伝わってきた。

 結果はすぐには出ないだろう。そんなに簡単なものではない。しかし、チームメイトの温かさを感じた分だけ、吉川が心の成長を遂げるチャンスを得たことは確かだ。グリンの話に耳を傾けた日のことを笑顔で振り返り、その経験を今度は吉川が後輩たちに語り伝えることを信じよう。今は存分に苦しむのも、悪くない。

■吉川投手 <4回1/3、打者23、球数87、安打6、本塁打1、四死球6、三振3、失点4、自責4>

「今日もフォアボールがすべてです。定まらない制球からカウントを悪くし、あまくなったボールを打たれてしまいました。依然、今後への課題が残されたままです。悔しい投球内容が続いていますし、申し訳ない気持ちで一杯です。」

■梨田語録

「F先発吉川は、16日のL戦で次につながるボールの感触を掴んだと思って今日は期待したけれども、あれだけ先頭打者に四球を与えては苦しいね!3回フェルナンデスに打たれるまではソロ本塁打1本だけに抑えていたのに…。あれだけのボールを持っている投手はそうはいないのに惜しいよね…。何とかもう一皮剥けて欲しい。制球に不安があるのか、追い込んでいるときは良い感じなんだけど、ボールが先行してしまうと、消極的なピッチングになってしまうところを修正して、こちらの期待に応えて欲しい!!打線の方も6回E岩隈に、若干疲れが見え始めたところを捉え切れなかったのが、今日の全てだったね。試合を通して3~4点は取れるチャンスはあったと思いますよ。下位打線には積極的に若手を起用してるんだけれども、もうひと踏ん張りほしいね!!とにかく明日に気持ちを切り替えてファイターズらしくですね!!」

  1. トップ
  2. 試合情報
  3. ゲームレポート