2009/08/14(金)B☆B'sコラム

【#68】宴のあと(前編)

 気が付けば、暦は8月も半ばですねぇ…。あの「嵐のような2日間」が過ぎ去って、はや3週間――次から次へとやって来るスケジュールと格闘しているうち、時は容赦なく過ぎて行きます…。嵐は過ぎても、どうやら僕には一息入れたり感慨にふけったりする間もないようですが(苦笑)。

 まずは、単刀直入に聞きます。

 今回のオールスターでのマスコット集合、皆さんは楽しんでいただけましたか?

 今回札幌ドームでのオールスターは、僕のマスコット人生の中でも間違いなく最大のヤマ場の一つだったと思います。今までオールスターについては、ここで何度もエラそうな事書いてきましたからねぇ…。いざ自分の番になって、果たしてそれに見合うだけの内容に仕上げる事が出来るのかどうか…実は本番までかなりプレッシャーを感じながらの日々でした(^^;)。ただその一方では、信念みたいなものはずっと揺るがなかったですよ。「イメージ通りのマスコット集合が実現すれば、必ずファンには楽しんでもらえるはず!」っていう――。
 マスコット集合を成功させる為には、まず何よりもその「核」となるアトラクションの充実が不可欠になってくる訳ですが、そのアイデアは比較的早い段階から沢山ありました。5月のコラムでファンの皆さんからの意見も募集したんですが、それも効果ありましたね。その後多くの方から、アイデアをいただきました。イス取りゲームとか綱引き・6人7脚など実際やった競技は以前から僕の構想の中にもあったんですが、やっぱりファンからの要望が多かったというのも、採用の大きな決め手でした。玉入れを一般的な形ではなく、1人のマスコットがカゴを背負って逃げ回る形にしたのも、ある意見を参考にしたものです。アイデアを寄せていただいた皆さん、ありがとうございました!
 他球団のマスコット達にも、何か面白いアイデアがないか意見を募りました。やっぱり一番良いアイデアを出せるのは、誰より現場でやっている者だと思いますからね。実を言うと、「野球場へゆこう」の振付をみんなで1小節ずつ考えよう、ってアイデアはトラッキー、お絵描きしりとりはレオからのアイデアだったんですよ!
 他にも、アイデアレベルでは色々ありましたねー。例えば長縄跳び・スピードガン・遠投・ストラックアウトみたいな比較的「真っ当な」対決モノから、12球団マスコットによる筆談トークショー、暗算対決、写真コンテスト(マスコットが被写体じゃなく、自分で写真を撮るんです(笑)、果てはTVの「イロモネア」でお笑い芸人がやってるような「サイレント対決」まで(笑)。ただ一番の問題は、見て楽しい内容であるのはもちろんのこと、オールスターという物凄い制約の多い状況の中で、実現可能な内容なのかどうか、ってとこだったんです。
 実際、本番までの間は様々な「現実の壁」との戦いでした。頭の中のイメージを、ただの絵空事で終わらせず具現化する為には、どうしても避けて通れない現実が沢山ある事を痛感させられる日々でしたね。特にステージに関しては悩みました。ステージを建てる予算も物凄く限られていたし、場所も最終決定までに二転三転して。僕的には屋外の解放的な雰囲気の中でやりたかったんだけど、雨降ったらどうすんの?という指摘を受け…屋内で適当な場所を探すも、定員やら警備やら、果ては法律上の問題まで考慮に入れなければならず――結局悩んだ末、雨のリスク覚悟の上で、当初の構想通り屋外でやる事にしたんです。「小雨決行、土砂降りなら中止!」くらいの心づもりで。札幌も7月は雨模様の日が多かったですからね、本番当日1週間くらい前からは、週間予報とにらめっこしながら「お願いだから晴れて!」ってずっと念じてました(笑)。
 それから難しかったのが、全マスコットの「設定」に触れない内容にする必要があったこと。12球団もあると、各球団マスコットのキャラ設定も様々なんですよ。何でもアリのフリーな対応の球団もあれば、結構ガードの固い(?)ところもある。実際「キャラの筆談はNG」という球団がいくつかあって、筆談トークショーはあえなくボツとなりました。あと微妙だったのは、「コーラ売り対決」ですか。色々やったマスコット対決の中でも、内容的には一番特筆すべきものだったんじゃないかとは思うんですけど、若干「大人の事情」が絡んできたりして…。前日になって「ウチのマスコットに特定商品を売らせるのはちょっと…」なんて意見が某所から出て慌てたりして、最後の最後まで無事に行えるのかどうか不安だったんです。まぁ最終的には現場の方達が最大限協力してくれた甲斐あって、何とか乗り切る事が出来ましたけど(^^;)。
 アトラクション内容を決める上で配慮したのは、前から言ってるように全てのキャラにチャンスがあるような配分にする、という点でした。「動けるキャラ」だけが得をするような形にはしたくなかったんです。マスコット好きのファンの方々には、いろんな「ツボ」があると思うんですよね。カッコいいキャラが好きな人もいれば、可愛い系が好きな人、ゆる~いキャラが好きな人、オモロいキャラが好きな人…その誰もが楽しめて、そしてどのキャラもアピール可能な配分にしたいな、と。「知力・体力・時の運」って言葉があるでしょ?対決内容で出たいろんな案を、「知力系」「体力系」「時の運系」、更にセパ対抗の団体戦もあるんで「チームワーク系」の4つに分けていって、その4つを出来るだけ均等に配置出来るように絞っていった結果が、最終的に残った種目だったんです。

 それから、アトラクションの他にもう一つの「目玉」として言及しておきたいのは、コンコースに設けた「グリーティングスポット」ですね。僕としては、試合中にも「ここに行けばいつでもマスコットに会えるよ」って場所を作っておきたかった。今までのオールスターでは、どうしてもふれ合いの部分が物足りないな、と感じてましたから。グリーティングスポットには、12球団のメインキャラ・サブキャラすべて含めた全38名の写真と直筆サイン入りのバックボードを設置したんですけど、これもファンからのアイデア。当初は各キャラの直筆メッセージも添える予定だったんですが、前述の通り「直筆メッセージはNG」という球団が少なくなかった事から断念しました。既に数キャラからは楽しいメッセージをもらっていたんで、皆さんに紹介出来なかったのが残念なんですけど…。
 試合中はここで2キャラないし3キャラずつが1イニングずつグリーティングするような形にしたんですが、この組合せは当日抽選で決めていきました。過去のオールスターでも、試合前グリーティングなどで2~3キャラずつペアを組む事があったんですけど、僕はいつもこの組合せに疑問を感じてたんです。大抵の場合前年の順位とかが組合せの基準になったりして、何だかいつも似たようなペアリングになってしまう。それから、何よりいつも一方的に組合せを決められるのが嫌だった。だったら、単純明快に抽選にしちゃえと(笑)。自分でクジ引きすれば文句はないはずだし、その方がかえって意外な組合せが出来たりして、ファンにとっても面白いんじゃないかと思ったんです。セ・パが偏らないように工夫はしたけど、後は本当に控室に抽選箱を置いといて、当日控室入りしたマスコットから順にクジを引いていってグリーティング順を決めてったんですよ。

 こうして、7月の頭くらいまでにマスコット集合の骨子は出来上がっていきました。だけど一番大変だったのはその後で、各アトラクションをスムーズに実行に移す為の「オペレーション」と呼ばれる細かい部分を考える作業だったんです。
 僕のこだわりとして、お客さんの前で「グダグダ感」を見せるのは絶対にイヤだった(「面白いグダグダ」は、マスコット的にはアリだとは思うんですが)。その為には備品を準備したり、スタッフの配置を考えたり、キャラ達の動線をシミュレーションしたり――そういった作業を抜かりなくやっとかないといけないんですけど、結局ほとんどを自分一人で背負い込むハメになりました(涙)。まぁ、そもそもが自分で「やらせてくれ!」って言って始めた事ですからね。自分で最初から最後まで責任持ってやらざるを得ないし、あえてそうしたかった部分もあったんですが。だけど当然ながら試合とかロケとか、通常の球団業務をおろそかにする訳にはいかないんで、その合間を縫いながらの作業の日々でした。
 それにしても、オールスター直前の日程は僕にとっては厳しかったですね。直前まで釧路→帯広→札幌と移動日なしで続くホーム5連戦が組まれてて、1日の猶予もなくオールスター突入でしたから。前日に1日でも空きがあれば、準備作業に没頭する事も出来たんですが…正直、日程についてはかなり恨みました。毎晩試合の後深夜に準備作業をして、特にフレッシュの前日は明け方までやってましたし…よく体がコワれなかったなと(苦笑)。

 そんなこんなで、まずはフレッシュオールスターの当日を迎える訳ですが…長くなるので次回のコラムに持ち越します。すぐ更新出来ると思いますんで、どうぞお楽しみに!