2009/09/24(木)B☆B'sコラム

【#70】思い出の残し方

 最近このパターンが多いような気もしますが(^^;)、今回も皆さんへの質問から入ります。

 皆さんの、マスコットとの今までで最高の思い出って何ですか?

 もちろん、人によって答が様々なのは承知の上で聞いています。
 僕が毎日ファンと球場でふれ合いながら、いろんな事を感じたり考えたりしているのは、これまでもこのコラムで書いてきた通りです。それは常に「これでいいんだろうか?」っていう自問自答の繰り返しで、きっとこれからもずっと試行錯誤は続くでしょう。でも、どんな時でもその基本にあるのは、「お客さんに楽しんでいってもらいたい」「良い思い出を作っていってほしい」って事。きっとどこのマスコット達も、同じ思いでやってるに違いありません。そこで行き着くのが、冒頭の質問な訳で…。

 「B・Bは何をしている時が一番楽しい?」と、ある人から逆に聞かれた事があります。かなり難しい質問ではあるけど、あえて何か一つだけ挙げるとしたら、僕はお客さんと「会話」してる時が一番楽しい、と答えるでしょうね。特に小さな可愛い子供と会話してる時なんて、サイコーに幸せを感じる瞬間なんです。もちろん僕は言葉は喋らないけど…この「会話」の意味は、普段マスコットとふれ合っている方達ならわかりますよね?
 だけど当然僕は、毎日球場で会う全ての人と「会話」してる訳じゃありません。むしろそういう人は少数派で、ほとんどの人とは写真を撮ったりサインしたりという接点があるだけです。まぁそれ自体は何ら問題ない…と言うより、むしろ当たり前の光景なんですけどね。全ての人とゆっくり「会話」してたら、いくら時間があっても足りなくなっちゃいますから(^^;)。ただそれでも、現状のふれ合いのあり方に「これでいいんだろうか?」って思いを強めているのは否めないんですよ。

 話はちょっとそれますが、マスコットも長年やってると、いろんな時代の変化を感じる事が時々ありまして――ヘンな話、一番それを感じる最たるものが、「カメラの進化」なんです(笑)。皆さんもちょっと思い出してみて下さい。今から10年前、球場に来る一般のファンの持っているカメラの主流と言ったら、まだ使い捨てカメラとかでしたよね?撮った写真はその場ですぐチェック出来ないし、撮れる枚数の限られているフィルム式だから、撮る側としても「本当に撮りたいものを撮る」という意識が、今よりも少しは強かったんじゃないかなと思います。
 ところがその後デジカメやカメラ付き携帯が急速に普及して…今や小学生からお年寄りまで、球場で会う人のほとんどが「カメラ持ち」です。皆さんご存知の通り、デジカメや写メの一番便利なところは、画像もすぐ確認出来るし、失敗を気にせずいくらでも撮れる事。何でこんな話をするかと言うと、その便利さが逆に、僕達のグリーティングのあり方をより機械的に、より希薄な方向に変えてきているような気がしてならないからなんです。
 球場内をグリーティング中マスコットの周りに集まって来る人達の大半は、まずカメラを構えて写真を撮ろうとする。別にそれ自体は全然気にするような事じゃないんですよ。僕らはその為にグリーティングに出てる訳ですから。でも最近つとに感じるのは、写真撮影「だけ」が最大の目的になっちゃってるような人が少なくないんじゃないの?って事で…。なんかこう――写真さえ撮れればもう用済み、とばかりサッサと立ち去ってしまったり、こっちが握手しようと手を差し出してるのには目もくれずに、撮影した画像のチェックや保存に夢中だったり、って場面が何度となくあるんですよね。無言で隣に並んで写真を撮って、全く無言のまま立ち去っていく人とかも最近よく見ますし…。
 そんな場面に出くわすたび、そうやって撮った写真って、一体その後どうなっているんだろうか…?なんて思ったりするんです。大部分の人が喜んで大事な思い出として残してくれてるんだったら、別にいいんですよ。喜びの感じ方は人それぞれだし、球場ですれ違いざまに軽くハイタッチしただけでもすごく喜んでくれる人だっていますしね。――でもやっぱり、それでいいんだろうか?って疑問は消えないですね。マスコットとかお客さんとかいう立場以前に、人としてのコミュニケーションのあり方として、それってちょっと寂しくない?と。マスコットに話しかけるのって結構勇気がいるし、恥ずかしいのはよくわかります。でもせめて、「写真一緒に撮っていい?」とか「ありがとう」とか、そのくらいの言葉は交わそうよ…なんて事を、実は最近常々、グリーティング中に心の中で思ってる訳でして…。

 旅行に出かけた時、写真を撮ることばかりに夢中になって、気が付いたらほとんど自分の目で直に風景を見ていなかった――なんて経験、誰にでもありませんか?お子さんのいる方なら、子供の運動会でビデオ撮影に一生懸命で、自分の子供の走っている姿を液晶越しにしか見てなかった、とか…。まぁ気持ちはすごくわかるんですよ。後にしっかり形として残るもので記録しておけば何となく安心、みたいな。でも、必ずしもそれだけが思い出の残し方じゃあないんじゃないかなぁ…?って、最近思うんです。
 皆さんの人生の中で今まで一番の思い出に残っているものを、一度思い起こしてみて下さい。それは決して、写真のような記録として形に残るものばかりではなく、心の中の記憶に深く刻み込まれているものだって少なくないと思いませんか?僕が個人的に思うマスコットの魅力って、記録よりも記憶と言うか、文字通り直に「ふれ合って」一番感じられるものだと思うし、そうあってほしいと願うんですよね。もっとふれ合って、自分の目で見て、一言二言でもいいから言葉を交わして、何か少しでも心に温かいものを感じてもらった方が、より深い思い出になるんじゃないのかなー…なんて思うのは、僕の考えが古臭いんでしょうかね?(笑)

 今回の話はあくまで、毎日同じ作業を繰り返している僕の側からの感じ方です。だから僕からの「要望」みたいな感じであんまり重く捉えてもらう必要はありません。僕も皆さんに自分の考えを押し付けたくはないので…。写真を撮るだけでも、サインをもらうだけでも、本当に皆さんの思い出に残ってくれるんだったらそれでいい。ただ今回の話を心の片隅にでも留めておいて、今後皆さんがマスコットとふれ合う時何かの参考にしてもらえればなあ、と。僕らは今日もただ、チームが勝っても負けても、皆さんに少しでも良い思い出を残して家路についてもらう事を目指して頑張るのみですから――。