2004/08/23(月)B☆B'sコラム

【#10】マスコットにも人権を!

 シーズンも残り1ヶ月ですね。ファイターズもプレーオフ出場権を巡って、毎日熱い戦いを続けています。夏休みが終わっても(北海道の学校の夏休みは8月20日ぐらいまでなんですよ。知ってました?)、スタンドはまだまだアツい!シーズン序盤はちょっと寂しかった平日のスタンドも、ありがたい事に最近レフト側外野席はほぼ毎試合満席状態が続いてます。
おかげさまで、僕も球場では全員対応しきれないぐらい沢山のファンの皆さんに囲まれるようになりました。それはそれで嬉しい限りなんですけど…実を言うと、お客さんの数と比例して増えてくる「ある悩み」があります。今回はそんなお話を。

 僕達マスコットにとって一番の「悩み」とは、マスコットに対してイタズラをしてくる人達です。一体どんな事をされるのか、具体的に挙げてみましょうか?…頭や体を思い切り叩いてくる、背後からイタズラしてくる(いわゆる「カンチョー」をしたり、くすぐったり)、口の中からのぞこうとする(前にも言った通り僕はちゃんと目から見てるので、口からのぞいても何も見えません!)、握手した手を強く握って離そうとしない、頭を引っ張って取ろうとする(断っておきますが、僕の頭は引っ張って取れる類のモノではありませんので)、髪の毛を引っ張る、嫌がらせ目的の言葉を浴びせてくる、しつこくつきまとって来る…信じられないかもしれないけど、残念ながらこういう事は日常茶飯事です。そして更に信じられないのは、こういう人が分別のつかない子供ばかりではなく、いい歳をした大人にも多いという事なんです。
 僕が今までされた中で一番信じられなかった&許せなかったのは、だいぶ昔の話だけど背中のファスナーを開けられそうになった事。しかもいい大人の女性にです!(現在はユニフォームを改良してある為、背中にファスナーはありません。念の為)それから、スタンドでユニフォームを着て団体観戦している少年野球チーム…こういう子供達は集団になってイタズラしてくる事が多いので要注意なんですが、指導者の大人の良識が如実に現れますね。しっかりした指導者のいるチームの子供達は、握手やサインをしてあげると「ありがとうございました!」ってきちんと挨拶してくれるんだけど、ひどい場合にはイタズラを注意しないばかりか、「あの中には人が入ってるんだから、のぞいてみな!」なんて子供達をそそのかす大人もいます。
今年、あるマスコットが客に頭を殴られて負傷したという「事件」がありました。新聞記事にもなったから、ご存知の方もいると思います。他にも、例えば握手をした相手の子供にペンで手を刺されて出血したという話も聞いた事があります。これはもう立派な傷害事件ですよ!僕がマスコットを始めたばかりの頃には、今ほどイタズラはひどくなかったような…何だか年々悪質になっていくような気がしてなりません。

 どうしてこうも、イタズラをしてくる人が多いんでしょうか?そういう人達って、 僕らマスコットがいつでも笑顔で無抵抗な存在だと思ってるんじゃないでしょうか?マスコット相手なら、多少のイタズラをしても笑い話で許されると思ってませんか?確かに僕達は、見た目はいつでも笑顔ですよ。でもその笑顔の向こうには、あなた達と同じような感情があるという事を忘れないでほしい。僕達だって、イヤな事をされればイヤな気持ちになるんです!
皆さんは、例えば選手が目の前にいた時に、平気で頭を叩いたり面と向かって嫌がらせを言ったりしますか?選手じゃなくてもいい。一般の人に対しても、全く初対面の相手に向かってそういう事をしますか?普通しませんよね?それなら、マスコットに対してならなぜ平気でそういう事が出来るんでしょうか?

 僕は、マスコットの一番大切な役目のひとつが、「選手の代理」だと思っています。つまり、選手がプレーに集中する為ファンサービスに手が回らない分、僕が代りにファンの前に立ってサービスをしたい。だから、僕は出来る限りファンとの「距離」の近いマスコットであり続けたいと思っています。試合前後のお出迎えやお見送り、試合中のスタンドでのファンとの触れ合いの場を出来る限り設けているのもそのため。一人でも多くのお客さんと接する時間を取りたいんです。
 でも、こういう心ない人達があまりにも増え続けるようだと、今後はそれも考え直さなければならなくなるかもしれません。皆さんは、見ず知らずの不特定多数の人達に取り囲まれて、特に背後から何をされるか分からないという「恐怖感」について考えた事がありますか?そんな事ばかり考えてたらこの仕事は務まらないけれど、僕だって時にはそういう恐怖感を感じる事がありますよ。ここ数試合は、特に外野席を回る時には警備員の方が数人付いてくれるようになっています。確かに警備員が付いてくれていれば安心だし、それはそれでありがたい事なんですけど、警備員にガッチリ護衛してもらいながらファンサービス…ってのも、ちょっと寂しい話だと思いません?僕だって本当は、護衛なしでファンの輪の中に思い切り入って行きたいんですよ。

 今回はちょっとイヤな話をしてしまったけど、こういう事が起こっているのは事実です。これは僕だけじゃなく、他のマスコット仲間達も皆感じていること。 僕達は、どんな事をされてもただ泣き寝入りするしかないんでしょうか?ファンの前では常に「笑顔」で「無抵抗」でいなくてはならないんでしょうか?僕達に出来る最大限の抵抗といえば、そういう人達を無視するぐらいしかありません。僕達マスコットにはこういう発言の場がほとんどないから、僕はマスコット仲間を代弁して、ここで声を大にして言っておきたい!僕達マスコットにだって、人権があるんです!

 本当言うと、球場で会うファンの皆さんの9割方は、良識ある温かい方々ばかりなんですよ。 でも残り1割の人達の心ない行動によって、僕とファンの皆さんとの「信頼関係」が傷付いてしまいかねない。「誠意を持って接してくれ」とまでは言いません。ごくごく普通の常識の範囲内で接してきていただければ、僕だって精一杯誠意を持ってお返ししたいと思ってるんです。そもそもこのコラムを読んでくれてる人自体、良識ある人達ばかりだと信じたいけど(笑)、もしあなたが今までマスコットに対してこういうイタズラをした経験があるのなら、今回のコラムを読んで僕達の気持ちも少しは察してもらえれば幸いです。これからも、B・Bがファンの皆さんとの距離の近いマスコットであり続ける為に…。