Fビレッジの開発と異業種からの挑戦 Fビレッジの開発と異業種からの挑戦

01 『一緒にやろう』

―― 小林さんも異業種からファイターズに飛び込んだと聞いていますが、その時のことを教えてください。

小林 兼

「2019年、まだ銀行に勤めていたとき、タイのバンコクで働いている際に、ファイターズの中途採用募集に関する面白い記事を見つけたんですよね。野球を見たことも、やったこともほとんどなかったのですが、野球が好きな人もそうじゃない人も楽しめる場所をつくるというコンセプトが面白そうだと思い、応募しました。
しかし、書類選考の結果連絡を見ると不合格でした。正直、僕は一応グローバルな銀行で働いており、まだ30代なので、少しは需要があるのではないかと思っていました。しかし、残念ながら結果はこのようになり、思っていた以上にがっかりしました。そのときに、ふと気づいたのです。実は、僕はこの仕事をかなりやりたかったのだと。僕は気軽に申し込んだにもかかわらず、相手から『残念ながら…』と言われた瞬間に、逆にめちゃくちゃ好きになってしまったんです。まんまとはまってしまったという感じです。
しかし、その後、ちょっとした行き違いが判明し、結果として合格ということになりました。」

対談写真C
斎藤 佑樹

「当時はファイターズはまだ成功への道の途中だったわけじゃないですか。それでも、どうして自分の人生を投げ打ってまで行こうと思ったんですか?」

小林 兼

「本当に、それについては非常に考えさせられました。実は一度内定を辞退したんです。その時は妻が反対したんです。自分としても行きたい気持ちが6割、4割は不安という感じだったので、どうしようかと思っていたんです。
すると当時の本部長である前沢(※)がわざわざタイに会いに来て『一緒にやろう。あなたは銀行員でスポーツ・エンタメ業界に働いたことがないかもしれないけど、ポテンシャルを買っている。』という言葉が印象的でした。事前に家族構成を確認してくれて、子どもたちにお土産としてラジコンを2つ持ってきてくれました。ちょうどクリスマスの時期だったんですね。妻も『そこまで求められて、かつ家族まで気遣ってくれる、いい会社なんだろうね』と言ってくれて、入社を決めました。」
※株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 常務取締役 開発本部長

斎藤 佑樹

「面白いですね。それがタイで行われたというのが、また面白いですね。」

小林 兼

「そうですね。
また、同じころに、時間は有限だと感じるようになってきました。40代になる手前で、もし本当に求められて転職できるのなら、僕はやるべきだと強く思いました。そして、このプロジェクト自体がいろんな開発やまちづくりへの貢献があり、本当に人のためになる仕事でもあると実感しています。実際にお客さんが喜んでいる姿を見ることができるのも大きな魅力です。
あとは、自分自身がチームの勝利に対してガッツポーズを出せるような仕事って、なかなかないんですよね。そういった手触り感のある仕事を、やっぱり時間が有限の中でやってみたかったというのが一番の動機です。」