新星誕生
先発に大抜てきされた増井選手が、敵地ながら衝撃的なプロデビューを果たしました。立ち上がりから150キロを超えるストレートで攻めまくり、三者凡退スタートを切って見せたのです。
試合前のブルペンでは緊張感に包まれていました。それは本人だけでなく、周囲も同じだったようです。厚澤投手コーチが「自分が投げた方が気が楽だよ」と苦笑いしていたほど。それでも、試合が始まればルーキーとは思えない堂々としたマウンドさばきを披露しました。
「思ったよりも冷静にいけたし、マウンドの雰囲気も楽しめました」と本人は大物感漂うコメント。何よりも自信になったのは「ストレートで三振が取れたこと」といいます。
イースタンリーグで9回途中まで無安打無得点を続けことで、増井選手は一躍注目される存在になりました。しかし、実際にはキャンプ中から首脳陣は大きな期待を寄せていました。国頭で行われた紅白戦でのこと。1軍選手を打ち取る姿を見て、梨田監督も「強烈なインパクトがあった」と振り返ります。ファームでは吉井投手コーチのもと、ストレートを生かすための投球術を磨いてきました。
本塁打を2本浴びてプロの洗礼を受けるなど、まだまだ反省材料はあります。残念ながら初登板初勝利は挙げられませんでしたが、指揮官は「十分使えるボールだと思う」と評価し、再びチャンスを与えることを明言しました。苦境に立たされているファイターズにとって、若手の活躍は最大の発奮材料になります。細身の右腕が光を差し込んだことは間違いありません。
■増井投手 <6回0/3、球数100、打者26、安打7(本塁打2)、三振4、死球1、失点4、自責点4>
「自分の持っているものは出せたと思いますが、一発の失点ですからね。野手の人もそれはどうしようもないですから。1軍初登板でしたが、思ったよりも冷静にいけたと思うし、マウンドの雰囲気を楽しめたというのはありました。」
■梨田語録
「増井のボール自体は悪くないんだけど、もう少し速く見せる工夫ができるようになって欲しいね。でも十分(一軍で)使えるボールだと思う。欲をいえばコントロール。特に右打者のインコースにね。打線が1点も援護できなくてかわいそうだったね。次の登板も楽しみです。杉内も手探りの状態から尻上がりに調子を上げさせてしまったね。打線を責めてもしょうがないけど、チャンスがあっただけに(攻撃が)チグハグはチグハグ。怪我人が多いんだけれども、若い選手にとってはチャンス。活かして欲しいね。」