2013.05.17 FRI
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全員でつかんだ連敗脱出

 試合終了を告げる飛球が右翼・稲葉選手のグラブに収まりました。その瞬間、選手の笑顔が弾けました。監督・コーチ陣は一様にホッとした表情を浮かべました。そして、球団関係者やスタッフも勝利の余韻に浸りました。ひとつの勝利が、これほどまでに喜ばしいものであることを、誰もが改めて実感したに違いありません。連敗は9でストップ。約2週間かかって、ついにトンネルを抜け出しました。

 9回の逆転劇は、相手のバッテリーミスが絡んでのもの。しかし、この1勝が決して“棚ボタ”でないことは、4時間11分の激闘すべてに注視していれば明らかです。中田選手は2本塁打4打点。陽選手は同点打を含む4安打。それ以外でも、例えば1点を追う8回2死2ストライクから中島卓選手は四球を選んで盗塁を決め、9回に理想的な打順からスタートできるお膳立てを作りました。例えば9回先頭で今浪選手は中越え二塁打を放ち同点のホームを踏みました。野手はベンチ入りメンバー全員がグラウンドに立っています。投手陣も2番手・矢貫選手がマウンドに上った4回以降は自責点0。出場機会がなかった中村選手と根本選手も、延長戦に備えブルペンで肩を作っていました。ヒーローインタビューこそ陽選手が受けたとはいえ、まさにチームの全員が自らの役割を果たそうと全力を尽くした結果の勝利となったのです。

 9連敗を喫して名古屋を後にする際、栗山監督はこう話していました。「流れを大きく変えるために奇をてらった作戦を採りたいと思ったことは何度もあるよ。でも、それはやっちゃダメ。こういうときこそ基本に忠実に。そして全員で戦う。そうしないとたとえ1回勝ったとしても次につながっていかないんだ」。守備のミスも出ましたが、気を引き締めることで反省材料として糧になるはずです。何よりも全員で戦ったという事実は、チーム浮上のきっかけになる可能性を十分に秘めています。

 勝利への執念や、勝つことの喜びを再認識できた一戦となりました。連敗を経験したことで経験値をアップさせたチームが、今後どのように戦えるのか。大きなステップになることを期待しないわけにはいきません。

鍵谷投手<3回、球数74、打者18、安打4、三振2、四球5、失点2、自責点2>

「(連敗中という状況で)前回の登板とは違う緊張感はありました。それにしてもフォアボールが多かったので、しっかりと反省しないといけないと思います。早いイニングでブルペン陣のみなさんに任せることになって申し訳なく思いますが、この後はしっかりと応援します。」

栗山語録

Q.苦しみましたが、連敗を止めました
「きょうはミスが多かったし、こういう試合だからこそ落としたくなかった。144試合あるのだけど、1試合1試合、勝っても負けてもやり尽くしたと思えるくらいやり尽くさなければいけない中、みんなから最後までそういうものが出ていました。連敗が止まったこ
ともあって、久々に感動しました。一つ一つ、こういう思いを持って戦うことが大事だと改めて思いました」

Q.中田選手は失策の後に追撃の一発
「一生懸命やる中でミスがあっても取り返せばいい訳で。何とかしたいという思いが空回りするものだけれど、やり尽くすことの意味を確認してくれたと思います。勝たなければ取り返せないものだし、責任を感じながらやってくれるのが伝わってきました」

Q.救援陣の踏ん張りも大きかったのでは
「負けている展開でも行ってくれて、それが(勝利に)つながりました。勝たないとやっぱり自分たちのやることがぼやけてしまう。連敗中も無理をしていってくれた訳ですし、そういうものも間違いなく野手に伝わったのだと思います」

Q.連敗中は苦しみを味わいましたか
「自分より選手の方がよっぽど苦しいはず。監督のせいで迷惑をかけてきたので、早く勝ちたかったのが本音です。一つ言えるのは、一生忘れないということ。現役最後にプレーしたのが横浜スタジアムだったので、もしここから始まるのであればそれも何か意味があることだと思います」

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