広報レポート<中継ぎの職人が到達した節目>
いくつもの劇的な節目が、重なりました。波に乗り切れなかった交流戦を終え、リーグ戦再開の初戦。首位の東北楽天ゴールデンイーグルスを札幌ドームに迎え撃つ形での再スタートでした。正真正銘の反攻を展開するには試金石となる一戦は、華々しく彩られました。谷元投手がプロ入り通算100ホールドを達成。球団史上4人目、プロ野球史上25人目の快挙でした。
主砲の中田選手も今シーズン初の1試合2本塁打で7年連続2ケタ本塁打をマークしました。お立ち台をゲットして副賞として高級車のリース権を手にするなど、話題満載の白星になりました。
谷元投手へと、話を戻します。数々の修羅場をしのぎ、地道に積み上げてきた数字が大台に到達しました。2008年ドラフトで、球団では最下位の7位指名で入団。有名な話ですが、入団テストを受けて才能を見初められ、全国的には強豪とは言えない社会人バイタルネット(新潟)からプロの門をたたきました。当時、テストをチェックしていたスカウト陣も評価が分かれたと聞きます。167センチという体格面も決してアドバンテージではありませんでした。そんな中でも、可能性を感じて野球界の最高峰へと導いたスカウト陣がいました。それに応えた谷元投手の努力、また創意工夫は、この日までに積み上げた数字を見れば明らかでしょう。いつも荒れたマウンドに上がり、相手打者を沈める。1球が命運を分けるような場面を託され、心身を削って実績を積み上げてきました。
ふと「100ホールドって、過去に何人いるんですか?」と、聞いてきました。「球団で4人目です」と答えると「ああ、そうですか」と、驚くほど淡々としていました。名中継ぎ投手の称号を得ても、極めて冷静。局面での強さを、大記録の直後にも垣間見せていました。
野球の神様がいる、と信じたくなる運命の巡り合わせもありました。ドラフト下位指名でもフラットに実力を判断して、1年目から起用したのがこの試合の相手指揮官、当時ファイターズを率いていた梨田監督です。登用されて、1試合ずつ信頼を積み上げてきた原点となったのが梨田監督との出会いでした。何かを感じる記念日になったのではないかと思います。
幸先良く、再出発しました。ちょうど3日前、交流戦終了後の初めての全体練習を前に栗山監督は、こう選手たちに問いかけました。
「1つのアウトをいかに取るか。1点をいかに取るか。もう1度、見つめ直してやっていきましょう」
その1つのアウトを精魂込めて、奪い取るブルペン陣のスペシャリストが金字塔を打ちたてました。逆襲の力が満ちる、きっかけにしたい1日でした。
先発投手コメント
メンドーサ投手
<4回2/3 99球 打者23 安打6〈本塁打1〉 三振2 四球3 失点・自責3>
「(5回途中に)嶋に与えたフォアボールがリズムを崩してしまったね。それに、打線が点を取ってくれた直後の失点だったから、本当にもったいなかった。悔しい結果になったね。だけど、レアードの逆転打もあったし、このままチームが勝ってくれるようにしっかり応援するよ」
栗山語録
Q.中田選手が2本塁打4打点
「本当に良かった。うれしかった。久しぶりに“らしく”やってくれた」
Q.大田選手も貴重な本塁打
「大きかった。それぞれの選手らしくやって欲しいと言っているけど、きょうはそんな試合になった」
Q.中継ぎ陣が踏ん張った
「点を取るより、しっかり守るのがファイターズらしさ。そういう試合が多くなれば勝負できる」
Q.谷元投手が通算100ホールド
「なかなか中継ぎは勲章がつかない。でも、自分が監督になってから谷元には本当にお世話になっている。良かった」