試合情報

　今日の先発予定だった武田勝が、試合前練習で打球を左親指に受けるアクシデント。代わりの投手を誰にすべきか緊急会議が行なわれていたコーチ室に、山中通訳が入ってきた。「スウィーニーが、是非いかせてくださいと言っています。」翌日先発予定を一日繰り上げるのは、想像以上に容易なことではない。自分のコンディショニングなど二の次に、仲間の負傷とチーム連敗の暗雲を断ち切ろうと、彼は心意気を見せた。自ら希望した重責をまっとうすべく、最後まで集中力を切らさない6回無失点の堂々たるピッチング。チームに勝機を呼び込んだ。昨年も、連戦続きで先発が手薄だった9月に中3日で志願登板したスウィーニーは、またしてもファイターズをピンチから救った。「僕は、与えられた機会を大事にするだけ。自分がどうなんて、正直関係ないと思っている。」昨日は通訳なしでプランを立て、他の外国人選手を誘ってディズニーランドでリラックスした。気持ちの切り替えのうまさと仲間を思いやる性格が、緊急登板にも生きたのかもしれない。

　スウィーニーの熱き気持ちに応えようと、野手陣もマリーンズ先発・成瀬に果敢に立ち向かった。試合前の打者ミーティングで、打撃コーチから成瀬対策の意見を求められた選手たちが沈黙する中で、森本だけが声を上げ「無理に引っ張ろうとせず、強い打球をセンターから反対方向へ打つことに徹しましょう」と真剣な表情で仲間に呼びかけた。そして自らその心構えを実践し、成瀬から先制タイムリー２塁打を放ってチームに勢いをもたらした。活躍はそこで終らない。2－0から、まさかの同点に追いつかれた直後の9回表。走者1，2塁でバントの構えから相手の意表を突くバスターエンドランに成功し、勝ち越し。「今日は負けられない」（森本）との思いが、バットに乗り移ったかのような快打に森本は久しぶりに満足そうな表情を見せた。

　自主的な行動でチームに活力を注入した二人のヒーローが、ファイターズを連敗から救った。チームの勝敗に当事者意識のない者など誰もいないが、スウィーニーと森本の活躍は、現状を更に敏感に感じ取っていたからの結果といっていい。大きな1勝を手にしたファイターズ。病院から球場に駆けつけた武田勝は、包帯に包まれた左手を胸に引き寄せながら、笑顔でナインと右手で握手をした。

「試合開始２時間半前に決まった登板であることを考慮すると、自分なりのピッチングが出来たと思います。勝（武田勝）の代役であったので、彼のためにも何としても先発投手としての役割を果たさなければと気合いが入りました。今日は制球もほぼしっかり定まりましたし、焦らず投げることが出来たのがよかったのではないでしょうか。ピッチャー強襲ゴロのときに打球がお腹に当って痛かったけど、それも忘れるほど集中しました。今日は大事な試合。あとは信頼のおける救援陣に託し、必ず勝利します。全員で勝ちにいきます。」

「今日の武田勝にはビックリしたね。初めに状況を知らされて、本人とも直接会って話をしたが、その時の感じではアイシング中で一回飛ばす（次回は予定通り）のは仕方ないかな程度と思ったけれど、まさか骨折（左親指末節骨骨折）とは…頼りにしている投手なので1日でも早く治ってチームに合流してもらうことを祈るしかないね！急な事だったのでこちらも「予告先発はしているし、建山・坂元の中継ぎ陣もなかなか急には崩したくないし…」そんな状況の中、スウィーニーが手を挙げてくれたので助かりましたね！！ダルにしても前倒し登板となるし、ここは投手陣全員で苦しい状況を打破していくしかないね！！先発のスウィーニーは急遽だったので立ち上がりこそ制球が定まらず苦しい内容だったけれども、ピンチを凌ぎきる強い精神力と中盤は持ち味の制球力で本当に素晴らしい投球内容だったと思いますよ！！武田久は彼本来の投球ではなかったけれども、それを全員の力でカバーし、同点に追いつかれても、すぐ突き放す全員野球が出来ましたね！！9回森本にはバントのサインは出ていたが、相手の守備をみて柔軟にバスターに切り替えてもOK状況の中、上手く叩きつけて中前に転がしてくれたね！！陽の中押し本塁打は貴重な追加点で、本来なら試合をあそこで決めたかったところだけれどもね…。ただ終盤同点にされ、流れ的には悪い試合展開の中、全員が結束したというか、チーム一丸となってもぎ取った勝利だけに、今日の1勝は大きいね！！苦しいチーム状態は明日も変わらないけれども、とにかくみんなで乗り切っていくしかない！！この気持ちで今後も試合に臨みますよ！！」