

■広報レポート <勝利の使者到来>


ファンも待っていた。グリンとともにヒーローインタビューに息子のカイル君が登場すると、父親に負けない声援が降り注いだ。今季1勝6敗と不振にあえいでいた昨年の交流戦MVP。44日ぶりの勝利を運んできた'使者'を抱き寄せ、右腕に打球が当たった痛みなどどこ吹く風という満面の笑みを浮かべていた。
グリンの家族を乗せた19日の来日便は7時間遅れ、その日のうちに札幌まで着けなかった。登板日にも関わらず、グリンは昼過ぎに新千歳空港まで迎えに行き、久々の再会を楽しんだ。「息子が2インチ大きくなっていた。3カ月会えなかったのは想像以上につらかったからね」。好投しても報われないことが多かった今季、マウンドでいらつくシーンが多かったが、初回2死から陽がエラーした時も笑って受け流す。毎回ベンチに下がる時にネット裏の家族に手を振り、エネルギーを充てんしながら6回まで1安打無失点の快投を演じた。
もう一人の頼もしい男も背番号14には心強かったに違いない。右大胸筋を痛めて一塁や指名打者での出場が続いていた高橋が18試合ぶりにスタメンマスクで復帰。「コーナーを狙わず思い切って投げてきてくれ」という相性抜群な女房役の助言に従うと躍動感がよみがえり「感覚がつかめなかったスライダーが自分の手に戻った」と復調を感じ取っていた。
ロッカールームでもチームのアイドル、カイル君の久々の来日に皆の顔が自然とほころんだ。ちょっぴりお腹の出た勝利の使者到来とともに、ファイターズは交流戦連覇へ幸先のよいスタートを切った。
■グリン投手 <7回、打者25、球数96、安打2、四球0、三振7、失点1、自責0>

「今日は今シーズンで一番の出来でした。特に、今までなかなか感覚のつかめなかったスライダーが、ようやく自分の手に戻ってきた気がします。最後まで気持ちを切らすことなく、打者に向っていく姿勢を崩さなかったのがよかった。打球は右腕に当りました。少し腫れてきましたが、あの回は自分で決着をつけたかったので、気合が痛みに勝りました。これまで自分らしい投球が出来ずチームにも迷惑をかけたので、ここから本来の姿を取り戻すことが出来れば嬉しいです。まずはこの試合に勝つこと。一所懸命チームメイトを応援します。」
■梨田語録

「自身初の交流戦でした。家族が来たからなのか、先発グリンはコントロール・テンポとも良く、今年一番の投球をしてくれましたね。ミスもあったりしましたが、打線がつながって得点できましたし、ファイターズの持ち味である『全員野球!』で勝ち取ったゲームでしたね。」