

■広報レポート <先発は誰?>


試合開始45分前、ロッカールームで坂元は「きょう、先発じゃないんですか?」とすっかりリラックスムードの藤井を見て目を丸くしていた。スポーツ新聞は一部を除いて藤井の先発予想。味方があざむかれたのも無理はない。本当の先発投手、スウィーニーは午前11時半という遅い球場入りに加えてグラウンドに一切姿を見せず調整していたのだから。
交流戦はパ・リーグの戦いとは違って予告先発がない。この期間特有の腹の探り合い。「ドラゴンズは僕の可能性も予想していたかも知れない。だから、ちょっとでも感づかれないよう注意を払ったんだ」とスウィーニーはほくそ笑んだ。敵将・落合監督の本心はうかがい知れないが、昨年は不振で交流戦の間、ファーム暮らしだった助っ人の策士ぶりは7回4安打1失点と危なげない投球内容につながった。
普段から彼ほど常に明るく感情の起伏がない男はいない。登板前日は試合中、広報ルームで手紙を書き始め「英語でファンレターをくれた人にメッセージを返すんだ」と張り切ってペンを走らせていた。
「イッショニタタカイマショウ」とローマ字でしたためた一文は、この日のヒーローインタビューでもファンに向かって呼びかけた。4打点で打の主役になった小谷野も「一緒に戦いましょう」とそのまま復唱し笑いを誘った。交流戦昨年の覇者が今年も4連勝の好発進。相手をだますことはあってもファンを裏切らない集団は、セの本拠地で2カード続くあすからの戦いにも変わらぬ気持ちで乗り込む。
■スウィーニー投手 <7回、打者26、球数111、安打4、四球2、三振3、失点1、自責1>

「今日は制球にやや苦しんだものの、先発としての役割を果たすことが出来たという充実感はあります。これも打線の援護があったから。素晴らしい攻撃陣の活躍の前では、自分の投球は今日の好ゲームにおいてほんの一部でしかありません。また、大勢球場に駆けつけてくださったファンの方々から、大きな力をもらいました。感謝の気持ちで一杯です。」
■梨田語録

「初回、ツーアウト2塁から稲葉の先制タイムリー、高橋の3ランホームランで3点を先制して主導権を握り、中押し、ダメ押しと最高のゲーム展開でした。先発スウィーニーは立ち上がり、それ程良い感じではなかったが、初回に3点を取ってもらい気分良く投げられたと思いますよ!!ただ、球数が多かったのが次回の課題だね!!とにかく今日は3万人を越えるファンの皆さんの前で『今季最高のゲーム』ができて良かったです!!」