

■広報レポート <絆>


大記録を逃した落胆は引きずらなかった。8回2死でノーヒットノーランが途切れたグリンは、9回に2本のソロを浴びながらファイターズ移籍2年目で初めて最後までマウンドを守り通した。「さすがに疲れたけれど、試合に勝てたことが何よりよかった」。勝利の儀式とも言うべきハイタッチも、投げきったからこそ充実感はひとしおだった。
交流戦首位タイでリーグも2位と好位置をキープしながら、試合前の雰囲気はおよそそんなチームが醸し出すものでなない。森本に続いて1日のタイガース戦で左手小指に死球を受けた高橋も離脱。札幌ドームの計らいで清めの塩がベンチに盛られた。梨田監督はアップ開始前に全員をサロンに集め「優勝してきた経験というものを強く感じる。これまで通りミスを恐れず戦っていこう」と異例の訓示を行い選手をグラウンドに送り出した。
結束の強さで幾多の窮地を乗り切ってきたファイターズを象徴する一コマがあった。グリンが初安打を許した直後、岩本広報の携帯電話が鳴った。高橋からだった。「打たれてしまいましたけど、この後も離れたところから見守っていると伝えてください」。バッテリーを組めないどころかベンチにも入れない無念さをみじんもにじませない声は、間違いなくマウンドの背番号14に届いた。
「盛り塩?確かなことは分からないけれど、大事な意味が込められているんだろうなと思っていました」とグリン。置かれた状況を理解し、持ち場でしっかり役目をこなせる選手の集合体だからこそ崩れない。ノーヒットが続く間、田中賢が、小谷野がヒット性の当たりを好捕したように。こうした戦いを続けていくうちに、故障者はいつか必ず帰ってくる。
■グリン投手 <9回、打者32、球数118、安打3、本塁打2、三振2、四死球2、失点2、自責2>

「ファイターズで初めて完投してのハイタッチは気持ちがよかった。交流戦に強いと言われるけど、アメリカでも6月はいつもいい投球が出来ていました。ノーヒットが途切れた悔しさはないし、バッターがうまく打ったということです。」
■梨田語録

「Fグリンは記録(ノーヒットノーラン)の可能性は十分にあったね…8回2死から代打森笠の2-1からのフォーク…。惜しかったね!!ただ完投してくれたので、ブルペン陣は助かったね。武田久・宮西その他投手陣に疲れが溜まっている時期だからね。グリン同様、小山のリードも良かった。いつもは信二(高橋)と組んでいたけれども、小山のサインにもあまり首を振らなかった。呼吸もぴったりだったし、テンポも良かった。今日のグリンの良いところを引き出すリードだったね!!攻撃はヒットの数は多かったけれども、あと1~2点は取らないといけないね!!この辺は今後勝ち抜いていく為の課題です!!」