

■広報レポート <意地がある>
6回2失点と、勝利投手となるに十分な投球をしたスウィーニーだったが、今日は中日先発・川上の好投がそれを上回った。
ここ数年の川上はカットボールの多投と外へのコントロールを中心に勝負していた印象がある。しかし今年は、真っ直ぐで押し、力でねじ伏せる姿が目立つ。球速も明らかに昨年のそれより上。スピードガン表示は今日も150kmに迫った。振り遅れを滅多にしないはずのスレッジや稲葉までもが、ど真ん中のボールをバットに当てられない場面があったほどだ。4回、稲葉の右越適時打で1点を奪うも、回を追うごとに威力を増す川上相手に多くを望むのは至難の業と言えた。8回からマウンドを譲り受けた2番手のチェン、3番手の岩瀬も、川上に負けず劣らずの威力あるボールでファイターズ打線は全く太刀打ちできなかった。致し方ない敗戦、というところか。
昨年の日本シリーズ敗戦のリベンジとばかりに、スウィーニーは試合前から相当意気込んでいた。スコアラーから届いた資料に何度となく目を通し、ビデオも繰り返し再生した。同じ失敗を繰り返さないよう努める姿勢は、アメリカ時代に辿ってきた経験から養われたもののようだ。
通常、日本では秋におこなわれるドラフト会議は、アメリカでは丁度、今時期の6月初旬におこなわれる。1球団およそ50人も指名する大掛かりなものだ。ドラフトに漏れた選手は、フリーエージェントとしてドラフト外入団の道しかない。無名の大学で特に目立った活躍のなかったスウィーニーは、ドラフトで名前が挙がることなく外入団となった。契約金もなかった。「スカウトの人から、帽子を何個かもらったよ。それが契約金かな」と当時を笑顔で振り返る。入団後も即座に目立った活躍をしなければ戦力外になってしまう。つまり、常に解雇通告と背中合わせだった。度重なる失敗は許されない。頭を使い、常に全力を尽さねば生き残れないという、良い意味での緊張感が彼を成長させたと言う。
川上は大学で注目を浴び、ケタ違いの契約金と共にスター選手として1位指名入団。力でねじ伏せる姿、そのままだ。帽子が契約金代わりの最底辺から這い上がってきたスウィーニーが、川上に一歩も譲らないピッチングを見せるのだから野球は面白い。降板後、悔しさでアイシングすることすら忘れチームメイトを応援する彼に、勝ちをつけてあげられなかったナインは申し訳なさそうに試合後、今日の好投を握手で讃えた。スウィーニーは今日の敗戦から何を学んだのか。その答えは、今秋、日本シリーズでの再戦で出される可能性がゼロとも言えない。
■スウィーニー投手 <6回、打者26、球数114、安打6、三振6、四球2、失点2、自責点2>
「逆転を許してしまっての降板は、非常に悔いが残ります。調子は悪くなかったのですが、結局リードを許したことがすべて。2者連続ホームランは何としても避けなければなりませんでした。」
■梨田語録
「本塁打3本、2塁打3本は効いたね。ミスもあってスウィーニーの球数も増えてしまったのがね…ここ最近では抜群の出来だっただけに、なんとかいってくれると思ったのですが…連続本塁打はそれまでの出来からは想像できなかったね…ウッズ以外は上手くタイミングを外して打者を翻弄していただけにもったいなかったですね。終盤チャンスが有りながら、多少疲れの見え始めた川上を攻略出来なかったのが今日の敗因ですね。ここ一番での集中力はさすが川上でした。新1・2番コンビも機能しているので、明日からの横浜戦に向けて気持ちを切り替え、ファイターズ野球ですね!!」