

■広報レポート <体に刻み込んだ思い>
痛烈な当たりはG小笠原のファーストミットに吸い込まれた。わずか1点差を追った9回、先頭スレッジがクルーンの156キロを完璧に捕らえたものの野手の正面を突いた。「数センチの違いが明暗を分けるのが野球だ」。2死一、二塁とあと一歩まで追いつめた悔しい敗戦を、助っ人は冷静に分析した。
「数センチ」の差を感じられるほど、状態は上向きだ。この日は3打席目まですべてヒットを放ち、交流戦17試合目で6度目の複数安打となった。「日本の野球に慣れ、対応できるようになってきたのが大きい」と、勝利には結びつかなかったとはいえ5番がどっしり構えか細いと言われ続けてきた打線に頼もしい軸が出来た感はある。
その太い右の上腕にはハングルのタトゥーが彫られている。カンドと発音する韓国語の2文字は、日本語で「強度」「強さ」を意味する。「韓国人の母が大好きな言葉で、18歳のときに野球を続けていく上で僕のモットーにしようと思ったんだ。本当は、韓国語はほんの少ししか分からないんだけどね」と照れくさそうに微笑んだ。
対ジャイアンツ戦3連敗も1点差が2試合に2点差が1試合。日ごとに強さを増しているスレッジのスイングには接戦をものにできないもどかしさを吹き飛ばすだけの勢いがある。ロッカーで好投が報われなかったダルビッシュの背中を無言でポンポンと軽く叩いた姿にリベンジへ静かに燃える胸の内が透けて見えた。
■ダルビッシュ投手 <9回、打者36、投球数123、安打5、四死球5、三振7、失点1、自責1>

「今日は、自分のボールをしっかり投げることができたし、結果的に勝利に結びつかなかっただけです。ラミレスに打たれた一発も、ツルさん(鶴岡)のリードが悪かったわけでもなんでもありません。チームメイトは「ごめん」と言ってくれたけど、全員が全力でプレーしているのは明らで、皆の思いが伝わってきます。自分が(無得点を)責めるはずもありません。大事なのは、次に向けて気持ちを切り替え、また全力で投球をすることだと思います。」
■梨田語録

「今日もダルビッシュに勝ち星を付けられなかったね…。2試合連続の完投負け、打線の援護がなかったね…。G先発野間口も調子が良かったので、『先に点はやれない!!』と思っていた矢先でしたね、ラミレスの1発は…。ダルビッシュの調子自体は悪くなかったですよ。ただあの1球はちょっと高かったかな…。6回のスクイズは点を取られた直後だったし、カウント1-1から相手も無警戒だったので…。同点にして2死2塁を想定していましたが、まさか併殺になるとは…。結果的にこれが明暗を分けたかもしれませんが、やるべき事をやった結果ですから悔いはありません。とにかく今は、明日の試合に向けて気持ちを切り替え臨むだけですね!!」