

■広報レポート <おやじたちの奮起>


延長10回無死満塁の絶好機は2死を奪われ潰えたかに思われた。ところがだ。紺田への内角球がキャッチャーミットをかすめてバックネット方向へ転がる間に三塁ランナーのスレッジが生還。4万人の熱気にあおられ、選手や首脳陣らの歓喜の声もいつもに増して上ずっていた。
「おやじ☆ナイト」と銘打ち、お父さん世代が楽しめるイベント満載の2日間にチームのおやじたちが踏ん張った。先発のスウィーニーは13日が34回目のバースデーだった。投手陣最年長の助っ人は3回を終えてロッカーに引き上げてくると指を折りながら「一、二、三」と日本語をつぶやいた。英語で三者凡退を「ワン、ツー、スリーイニング」と呼ぶが、2回までポンポンと2死としながら3つ目のアウトが簡単に取れない。念が通じて3回から5回を9人で打ち取ると6回に1点こそ失ったものの来日最長の8回を投げきった。
米マイナー時代の悔しい思い出を打ち明けたことがある。日本のある球団のスカウトがスウィーニー目当てに視察に来た試合で、納得の投球が出来たにも関わらずその後連絡がプツリと途絶えた。「力がないと判断されたんだろうね」。その後、実力を認めたのが図らずも当時GMとして現地視察し、この日始球式も務めたスワローズ高田監督だった。
おやじ世代のファンの方がバットボーイやグラウンド整備、YMCAダンスにと大活躍された球団初の試みは、1軍登録最年長の野手・稲葉も奮起させた。6回の同点打に10回も先頭でヒットを放ち、サヨナラの呼び水となった。「チームで年上の僕がお父さんたちから後押ししていただきました」と無形の力が札幌ドームに満ちていた。15日は1、2軍の親子ゲーム。今度はファーム選手の生き生きとしたプレーが波及効果をもたらしてくれるかもしれない。
■スウィーニー投手 <8回、打者29、球数114、安打3、三振5、四球3、失点1、自責点1>

「今日は真っ直ぐ、カットボールの調子が良く、最後まで気持ちを切らさず投げることが出来ました。球場全体に響き渡る大声援も、マウンド上での力となりました。チームは何とかこのゲームをモノにしようと必死に戦っています。何としても勝ちたい。それだけです。」
■梨田語録

「スウィーニー、S川島亮、両投手の投げ合いでしたね。スウィーニーは今までも良かったけど、今日は一番良く球数も少なく、8回まで投げてくれたので助かった。初回、2アウトから2四球を出したのと、6回にヒット2本で1点を失った以外は完璧でしたね。相手投手の川島亮も打てそうで打てなかったので苦しみました。あと1本出ていたら楽に勝った試合だったと思うけど・・・・・。延長10回のノーアウト満塁がツーアウトになって予想も付かないパスボールが決勝点になるとはね。運もツキも味方してくれました!!」