

■広報レポート <言葉はいらない>
9回裏になって強くなった雨もファイターズの勢いに水をさすものではなかった。MICHEALがタイガース最後の打者・新井をレフトフライに打ち取り試合終了。その瞬間、左手小指に痛みが出て途中でベンチへ退いていた高橋の笑顔も雨粒でまばゆいカクテル光線に照らされていた。
執念といえるだろう。6月1日のタイガース戦で左手にデッドボールを受けて以来、13試合ぶりに5番・ファーストで先発出場。4回、一塁に稲葉を置いて6球目をファウルした際、完全に癒えていない小指に強い痛みが走った。それでも8球目をライト前へ運びチャンスメーク。スレッジの先制二塁打など2点を奪う呼び水となった。
首脳陣からストップがかかりロッカーに下がると、無言のまま悔しさが表情ににじみ出ていた。骨折した時も自分で外せないリストバンドをはさみで切ってもらいながら「カルシウムが足りていれば大丈夫」と弱音を吐かなかった。そんな男の背中を見て、みな言葉に出さなくとも何をすべきか分かっていた。
交流戦に入り甲子園で9勝1敗と強かったタイガースに完勝。パ・リーグ首位のライオンズが敗れたことは宿舎へ戻るバスのテレビで分かった。「これでファイターズは1ゲーム差」という実況の声にも反応するものはいなかった。今、一喜一憂する時ではないことを誰しもが熟知している。2年連続の交流戦Vへマジック1としたところで、平常心は揺らがない。
■スウィーニー投手 <6回、球数86、打者21、安打4、三振3、四死球0、失点0、自責0>
「何イニングか甘い球を打ち損じてもらったラッキーがありましたが、味方の援護もあり無失点で投げ終えることができました。欲を言えばもう少し長く投げられればよかったんだけど。打つ方は目を閉じて振ったのがよかったみたい。」
■梨田語録
「F先発スウィーニーが本当に素晴らしいピッチングをしてくれたね!!打つほうでも4回の3点目(二ゴロ)は大きかった!!7回からの継投は7回先頭打者だったし、阪神がこのまますんなりと勝たせてくれるチームではないことも充分考慮した上での決断でした。7回以降宮西を始め、武田久、MICHEALとほぼ完璧でしたね!!高橋も4回稲葉の四球を上手くつないで、好調スレッジの2塁打と効果的な得点パターンでした!!高橋は大事をとって交代させましたが、状態をみてから、明日の試合の起用を考えます。とにかく今日勝たねば明日がない状況でしたので、今日の勝利で希望の灯がつながりましたね!!また明日も全員野球、チーム一丸で試合に臨みます!!」