

■広報レポート <残念な試合>

札幌ドームは、試合開始前から若いパワーで活気に満ち溢れた。「道都大学DAY」と銘打たれた今夜のゲームでは、道都大学の現役学生35名が、フリーペーパーやオリジナル団扇の配布、イニング間イベントの進行、高齢者・障害者疑似体験コーナーの開設など、試合運営の一部を自らの手で行なった。ひとつの企画を皆で協力し合いながら作り上げ、ただの経験に留まらない何かを得るというユニークな内容は素晴らしい試みだったといえる。普段は講義を受けることに終始することの多い学生生活の中で、能動的な取り組みは今後に大きく生かされるだろう。威勢のいい学生たちの機敏な行動が爽やかだった。
最近のファイターズは、負ければ終わりの学生野球を彷彿させるようなプレーの連続で勝利への執念を見せている。昨日の試合では1死1塁から送りバントを敢行し、終盤の5点差でも犠打で後続に託した。何としても勝ちに結びつけるという姿勢は、結果以上の結束力をチームにもたらす。今夜の試合でもそれは継続された。4回裏、先頭の糸井が2打席連続2塁打で出塁すると、次打者・稲田が絶妙のバントを決め1死3塁。好機だった前打席で凡退している鶴岡は、相手の意表を突く2ストライク後のスクイズを見事成功させ一時は一気に勢いづいた。「何とかしたいという気持ちで、食らい付いていった」と、鶴岡。彼の気合が、ここのまゲームを終らせると感じさせた。しかし、試合は思わぬ展開に向かった。
同点の9回表。ライオンズ・ボカチカが今日2度目のデッドボールを受けると、両軍がホームベースを境ににらみ合った。マウンドの武田久は1点もやれない大事な場面で1発を避けるべく内角へ投げ込んだに過ぎなかったが…。次打者L江藤は平凡なサードゴロ。ダブルプレーを取りに二塁ベースに入った田中賢が一走ボカチカの強烈なスライディングを受けて一塁へ悪送球し決勝点を献上してしまった。
学生たちの清々しさが際立った今日のゲームだけに、皆が笑顔で締めくくりたかった。負けは負け、と言ってしまえばそれまでだ。しかし勝負を分けたものが気迫を前面に押し出したプレーや姿勢というならば、首位を追いかける立場のファイターズ側に相手を上回るものが必要だったかも知れない。
ライオンズとファイターズのゲーム差は、これで8.5に広がった。
■武田勝投手 <6回2/3、打者22、球数74、安打3、死球1、三振4、失点2、自責点2>

「あの2本のホームランだけです。点を取ってくれたあとの失点は特に防がなければならないところ、1発を浴びたのは悔やまれるところであり、次回への反省点にもなりました。しかし、前回の登板より随分と自分らしい投球が出来たことは収穫です。まだ試合は終っていません。しっかり、チームメイトを応援します。」
■梨田語録

「今日の武田勝はテンポも良く球数も少なかったが、L後藤の時だけ少し高かったね。相手はホームランで得点できるけど、ファイターズはランナーを送ってつないだり、スクイズで得点する野球なので一点でも多く得点出来るように頑張ります。」