

■広報レポート <通い合う心>


負ければ5位転落の危機を救ったのはリーダー金子誠の一振りだった。3-3の9回1死二塁。ホークス佐藤の変化球をレフト前に弾き返すと、俊足の二走・紺田が歓喜の生還を果たす。「あの場面?頭の中は真っ白で…。追い込まれていて奇跡に近い…」と水をかけられずぶぬれのヒーローは自虐的なコメントを並べた。それが笑いを誘う。グラウンドとスタンドの一体感が札幌ドームに戻った気がした。
ゲームの最後が劇的なサヨナラヒットなら、ゲームの始まりは渋いヒットで盛り上がった。初回先頭の森本が遊撃内野安打で一塁を駆け抜ける時、まるで決勝打を放ったかのように両腕を突き上げた。オールスター明け後は前日まで打率.164と極度の不振。練習前の早出特打を生かし、8回にはレフト前ヒットを放ってスレッジの同点タイムリーを呼び込んでいた。試合後は「周りの支え、チームのみんなの温かさを感じてましたから」と感謝の気持ちをつづった。
リードオフマンの出塁を生かすべく、2番田中賢が2つの犠打に2安打。森本が打撃フォームチェックを行うのに、自らのビデオカメラを貸して不振脱出へ一役買っていた。9回、無失点で切り抜けた武田久も救援失敗が続いたとき、中嶋兼任コーチとVTRをにらめっこし1時間以上も上体が反り過ぎているフォーム修正に取り組んだ。「腹の辺りに力を込めろ」というベテランの助言を聞き入れ、4勝目を手にした。
ロッカーでは稲田が「今年サヨナラってあったっけ」と言って今季2度サヨナラ打を放っている高橋から「おいっ」と突込みを食らった。やはり粘りから生まれた逆転勝ちは盛り上がるし、明日への活力を生む。その裏にはいくつもの心と心の結びつきが隠れていた。
■スウィーニー投手 <6回2/3、打者32、球数136、安打7、四球5、三振6、失点3、自責点3>

「今日の投球内容には、全く納得していません。5四球はあまりに多すぎます。しっかり打者に攻撃的に向かっていっての結果なら仕方ありませんが、打たれる以前の問題で相手を押さえることが出来なかったのは、自分自身に腹が立ちます。攻めていかねば勝てない、その典型的な投球でしょう。シーズンの大事な時期なのに、このようなピッチングをしている場合ではありません。」
■梨田語録

「選手全員の粘り勝ちでしたね!!ファンの皆さんの大きな声援の中、選手もここ一番で奮起してくれました!!2点差となって多少チームの雰囲気が消沈した中、ボッツの本塁打はまさにチームを生き返らせてくれました!!ここ数試合不振だった森本・田中賢の1・2番コンビがマルチ安打、選手会長の金子誠が決勝打と、ファイターズ本来の戦いに近づいて来たと思います。サヨナラゲームはチームのムードを一気に盛り上げ、明日にも活力をくれる本当に有りがたい1勝ですね!!」