

■広報レポート <全員でつかんだもの>


梨田監督がヒーローインタビューを受けていた最中、マリーンズが敗れてファイターズの3位が確定した。ベンチに残っていた選手たちが144試合の労をねぎらうように握手と抱擁をかわす。最終戦のぎりぎりでつかんだクライマックスシリーズ進出だけに喜びもひとしおだ。ライトスタンドに詰め掛けていただいたファンにあいさつし、バスに乗り込んだナインを何とイーグルスのセギノールまでもが見送りに出向いてくれ、感激が増した。
試合前、指揮官はスレッジを呼び寄せると「大丈夫。5打席回るまで代えないから、プレーに集中してくれ」と耳元でささやいた。2度の故障離脱で規定打席到達に5打席足りない助っ人は4番に繰り上って初回に先制右前打を放ち打線に火をつけた。今季4敗を喫していたイーグルス田中が初の中4日登板で調子が上がらないと見るや、一気に畳み掛けた。6回までにスレッジが5回打席に立つほどの乱れ打ち。1974年から残っていたチーム最多安打を35年ぶりに3本更新する28安打17得点と寄せ付けなかった。
総力戦と位置づけていた当初のプラン通り、武田勝-グリン-ダルビッシュそして守護神MICHEALへつなぐ豪華リレーで零封。登録を外れている藤井が売店へ買出しに出かけ、ポップコーンやフライドポテト、ドリンクをロッカーに用意して後方支援に怠りなかった。
リーグ連覇を果たし、周囲の期待も必然的にハードルが上がった。プレッシャーに押しつぶされそうになりながら踏みとどまらせたものは、しびれる終盤戦を戦い抜いた2年の経験だろう。梨田監督は「頂点を目指せる。戦いはまだ残っている」と言った。9月以降15勝9敗。2年ぶり日本一奪還へファイターズには今、勢いがある。
■武田勝投手 <5回、打者20、球数70、安打4、三振0、四死球2、失点0、自責点0>

「最終戦ということで、自分の力の限り初回から飛ばしていこうと思っていました。コントロールはさほど良くなかったのですが、味方打線の援護のおかげで、相手打者が早打ちになってボール球にも手を出してくれたのが良かったのかもしれません。最後は、自分のリズムで投げることが出来ました。」
■梨田語録

「シーズン最終戦で勝てばクライマックスシリーズ進出のゲームで今まであまり打てなかったE田中投手から球団新記録の28安打、17得点で想像もしてなかった展開でしたね、それだけ選手の集中力がすごかった。本当は一番上が良いんですが、下からはい上がって行くのも頂点をめざして行くのもこれから本当の力を試されると思います。クライマックスシリーズ進出が最低の仕事と思っていたのですが、シーズン最後のゲームで決まって良かったです。相手はオリックスですが長打力のあるチームですので警戒をしなくてはならないですが、ファイターズの守りの野球をしたいと思います。」