

雨降って地固まる
5回無死1塁の場面、先発糸数選手の投げたボールは送りバントの構えを見せた谷繁選手の胸元へ。ボールは引いたバットにあたりファールかと思われましたが、審判は谷繁選手と言葉を交わすと、引いたバットが捕手大野選手のグローブに当たったとし、打撃妨害を宣告しました。あわててダグアウトから飛び出してきた梨田監督は珍しく声を荒げて抗議しましたが、判定は覆らず無死1,2塁となりました。この長い中断にもかかわらず、1軍初先発の糸数選手は荒木選手を併殺打に討ち取り、この場面を適時打による1点に抑える好投を見せました。しかし、この判定が試合の流れを変えたことは言うまでもありません。
6回を投げて3失点(自責点2)でマウンドを降りた糸数選手は「もういっこ腕が振れていなかった。思い切って振ってみたらボールが荒れたので変化球主体にした」と初先発で緊張していながらも冷静に試合中の投球スタイルを調整していました。そして試合が大きく動いたのは7回。完全に打ち取ったボールが二つもテキサスヒットになるなどの不運もありましたが、二つの失策を絡め7失点。1点差の攻防が続く好試合が一瞬にしてワンサイドゲームになってしまいました。しかし「いつでも全力、最後まであきらめない」がモットーのファイターズは9回に途中出場の村田選手が2点適時左翼線三塁打を放ち一矢を報いましたが、7回に失った7点はあまりにも大きいものでした。
試合終了後キャプテン稲葉選手がロッカールームで選手を集め、「今日の試合はもう終わり。明日からまた楽しくやっていこう」と声をかけると、ヒメネス選手も「自分のプレーでチームに迷惑をかけて本当に申し訳ない」と謝罪。梨田監督も「選手も身が引き締まっただろうし、これでまた気持ちが一つになれる」と、振り返りました。雨降って地固まる。きっとこの敗戦から得る物があるはずです。
■糸数投手 <6回、打者24、球数67、安打5(本塁打1)、三振1、四死球2、失点3、自責点2>
「緊張しました。もういっこ腕が振れなかったです。思い切って振ってみたら、球が荒れてしまったので、今日は仕方がないと思い変化球主体の投球に切り替えました。甘い球を打ち損じてくれたことも多かったのですが、最後には打たれてしまいました。2点までで何とか抑えたかったです。」
■梨田語録
「7回の7失点ね。へんな言い方かもしれないけど、いっぺんにミスが出てくれて良かった。選手も身が引き締まるだろうし、これでまた気持ちが一つになれるんじゃないかな。ヒメネスのエラーだけれども、打球のバウンドが変わっただろうけど、ちょっと雑だったかな。打撃妨害に関しては選手に確認しなければならないような判定はちょっとね。長い中断にもなってしまったし、流れは変わってしまうよね。糸数は一発打たれたけれども良かった。もう一回チャンスをあげてもいいかなとは思うね。」