

■広報レポート <Bounce Back>
バットの芯で捕らえた当たりは、グングンと伸びていきました。バックスクリーンまで届く特大アーチに、スタンドもベンチも総立ちに。ゆっくりとダイヤモンドを一周する稲葉選手にすべての視線が注がれました。
「うれしいのもありますけど、それよりもホッとしました」。6回1死一塁。ストレートをフルスイングしての4号2ランは、稲葉選手にとって実に6試合ぶりとなるヒットでもありました。
もがき苦しんだ5試合でした。気持ちが折れそうになったこともありました。しかし、必死に自分を奮い立たせてきました。札幌に戻ってから連日の早出特打を敢行。キャンプで恒例のロングティーも取り入れ、立て直しを図りました。
この日の練習前、首脳陣から“リフレッシュ欠場”の選択肢も提示されましたが、稲葉選手は迷わずに出場を選んでいます。「ここで休んだら負けだと思った。それにチームの士気も下がるかもしれないから」。出るからには打たなければならない。主将としての責任も背負いながらの打席。プレッシャーに打ち勝つ一発だったことは間違いありません。
投げては先発のケッペル選手が7回途中まで2失点の好投で3勝目。その後は宮西、建山の両選手がリードを守り、今季2度目のカード勝ち越しを決めました。ゴールデンウィークで何とか浮上のきっかけをつかみたいところです。
試合終了直後、ヒーローインタビューの打診を苦笑しながら頑なに断った稲葉選手。「今日行ったら泣いちゃうから。今日だけはホントに勘弁して」。今後、ヒーローになるチャンスは何度もあるはずです。満面に笑みを浮かべてお立ち台に上がる稲葉選手の雄姿を、しばしお待ちください!
■ケッペル投手 <6回2/3、打者27、球数123、安打5、四死球3、三振3、失点2、自責点2>

「ツル(鶴岡選手)がいい配球をしてくれましたし、二人でうまく呼吸をあわせて投げることが出来ました。ボールが先行することも多かったのですが、ピンチになった時に相手打者を打ち取れるボールを投げることが出来ました。野手も点を取ってくれたし、たくさんの内野ゴロをさばいてもらい、感謝しています。」
■梨田語録

「ケッペルはテンポよく投げたね。ちょっと制球に苦しむところはあったけど、鶴岡が盗塁を刺してくれたり良かったと思います。打線も点を取ってくれたしね。稲葉の一発は本人にとってもチームにとっても大きい。開き直りがないと、なかなかあの当たりは打てない。チームの責任を背負ってしまうところがあったかな。明日から西武、ロッテと元気なチームが相手だけど、挑戦者としてやるしかない。札幌でやれるしね。」