

■広報レポート <速球派、収穫あり>
七回に2番手・加藤武選手にマウンドを譲った吉川選手は、ロッカールームに戻ると大きく息をつきました。「調子はそんなに悪くなかったよね?」と聞いたところ、少し考える様子を見せてひと言。「いや、やっぱりダメです」。そして、指名打者で出場した稲葉選手と顔を合わせると「スイマセンでした」と頭を下げました。
「あそこでリズムをつかめなかった」と振り返るのは、先制を許した三回。無死二塁での犠打を三塁で補殺しながら、直後に失点。さらに2本塁打を浴びるなどで、6イニングで4点を失いました。結果だけを見れば残念な登板といっていいでしょう。しかし、吉川選手の成長の跡を見逃すわけにはいきません。広報担当が冒頭のように聞いたのは、それなりの理由があるからです。
もともと左腕としては“速球派”ですが、この日はストレートが走っていました。常時140キロを超え、最速は二回の坂田選手への3球目の146キロ。おかげで変化球も生き、ライオンズの4番・中島選手からは3打数無安打で2三振を奪っています。何といっても6回で7奪三振に対して四死球なし。課題だった制球力を、ファームで向上させてきました。
ファームからの昇格組では、森本選手に代わって一軍登録された村田選手が「9番・左翼」でスタメン出場。第1打席で13球を投げさせ、四球で出塁しています。
ライオンズ先発の平野選手に完ぺきなピッチングを見せられ、約1ヶ月ぶりの連敗。敗戦の中でも収穫があったのは救いです。16日からは仙台での3連戦。うつむくことなく1勝をもぎ取りにいきます。
■吉川投手 <6回、球数103、打者26、安打9(本塁打2)、三振7、四死球0、失点4、自責点4>
「先制点を取られたのが痛かったです。あそこでリズムをつかまないといけなかったのに、つかめなかった。チームに勢いをつけられなくて申し訳ない気持ちです。この後は逆転を信じて応援します。」
■梨田語録
「(ライオンズ先発)平野はストライクが先行させて、低めのボールが良く変化していたし、展開的にも楽に投げさせてしまった。ひちょり(森本選手)がいないからだいぶ打線を入れ替えたんだけど、うまくいかなかった。吉川は悪くなかった。ストライクを先行させたいのはわかるけど、初球を本塁打やタイムリーを打たれた場面がね。もう少し用心しながら投げて欲しい。良いボールは投げているし、援護がなかったのは確か。登板機会もないから一度は外すけど、チャンスはまたある。」