2010.08.11 WED
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■広報レポート <新星、誕生>

 マウンドでの堂々とした風貌は、18歳とは思えないものでした。ピンチを背負っても、中村選手は顔色ひとつ変えずに強力マリーンズ打線に立ち向かいました。一回の立ち上がり。いきなり味方の失策で無死三塁となったものの、ここから大器の片鱗を見せつけたのです。

 「思い切って打者に向かっていくことしか考えませんでした」。まずは今江選手をスライダーで空振り三振に仕留めてプロ初アウトを記録。井口選手には四球を与えたものの、金泰均選手をストレート、そして福浦選手をフォークで連続三振に斬って取りました。

 三回には、1点を奪われてなお2死満塁のピンチを背負いながら、サブロー選手を二飛に。直後に打線が逆転に成功したのをきっかけに、調子は右肩上がり。四、五回は三者凡退で、勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りました。1イニング3奪三振でスタートし、99球3安打6奪三振の鮮烈プロデビューとなりました。

 今季のNPB12球団で高卒ルーキー登板一番乗り。高校時代は“埼玉のダルビッシュ”とも評された右腕ですが、決して大きな注目を集め続けたわけではありません。西武に入団した雄星選手に話題が集中する中で、キャンプから地道にプロとしてのトレーニングを積んできました。

 「僕は雄星と違いますから。みんな僕がドラフト1位だって忘れてるんじゃないですか」。自虐的に言うこともありましたが、それは反骨精神の裏返し。「でも、負けてるとは思いません」とキッパリ言い切る表情は、プロ野球選手のものでした。

 ベンチ裏の選手サロンでは、先輩たちもテレビに釘付けでした。同じ名前の武田勝選手は「見てる方が緊張する」とソワソワ。武田久選手は1球ごとに「いいボール投げるね」と目を細めていました。アウトを取るたびに大きな拍手が沸きあがったのは、ベンチだけではありません。

 後輩をバックアップしようと、攻撃陣もマリーンズ先発の渡辺選手に11安打を浴びせました。同点打を放った女房役の鶴岡選手が「何とか同点にしてあげたかった」と話せば、もっとも年齢が近い中田選手も中越えに適時三塁打。「一応、先輩ですから」と満面に笑みを浮かべていました。

 最後はリリーフ陣が1点差をしのぎ、プロ初登板初先発を初勝利で飾りました。ファイターズとしてはダルビッシュ選手以来となる快挙。緊張から解き放たれ、武田久選手から手渡されたウイニングボールをうれしそうに持つ顔は、18歳のものに変わっていました。

■中村投手 <5回、球数99、打者21、安打3、三振6、四死球3、失点1、自責点1>

「もちろん緊張はしましたけど、ものすごく緊張したというわけではなかったです。思い切って打者に向かっていこうとだけ考えました。(一回はピンチを背負ったものの)そういう気持ちがいい結果につながったんだと思います。」

■梨田語録

「中村は緊張しただろうけどよく投げてくれた。早めに合流させて(雰囲気に)少しは慣れたんじゃないかな?思った以上にコントロールも良かったし、いきなりのエラーで足を引っ張ってしまったけど、よくしのいでくれた。感謝の気持ちでいっぱいだね。点差関係なく100球をめどに交代と考えていたので、3回のピンチも全く変えるつもりはなかった。打線は12安打?のわりにはあまり点が入らなかったね。」

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