

■広報レポート <マイルストーン>
三塁線を鋭く破っていった打球を見た金子誠選手は、白い歯を見せながら二塁まで全力疾走しました。七回2死三塁で放ったのは、史上107人目の通算1500本目となる記念のヒット。二塁ベース上で花束を受け取ると、クールに頭を下げました。
「一軍で試合に出るようになってから、ここまで来るとは思ってもいなかった。支えてきてくれた人たちに本当に感謝しています」
残り1本で迎えた一戦。シートノック後にベンチ前で組まれた円陣では、前日の試合で通算3000塁打を記録した稲葉選手に続けとチームメートからエールを贈られていました。「きょう打たないと」。そう思いながらの打席が続きましたが3打席凡退。
“ラストチャンス”となった第4打席での快挙達成でした。
お役御免となってロッカーに戻ると、「打ったけどエラーも2回してるからさあ」と苦笑い。それでも、ヒーローインタビューを受けた裏には仲間の後押しがあったのです。
先制打と勝ち越し打を放った稲葉選手は、こう言います。「自分がインタビューに行くのかなと思ったけど、マックが打った瞬間に、きょうはマックだよなってね」。6回1失点の先発・ウルフ選手や3打点と目覚めた中田選手、そして3安打の大野選手と候補がいる中で、全員からの推薦を受けてヒーローとなりました。
本来なら昨シーズン中に達成してもおかしくなかった記録です。昨年の開幕戦直前、金子誠選手はこんな話をしていました。「9番打ってるわけだからさ、1年かけていければ十分じゃないですか」。ところが、2度の戦線離脱で昨季は77試合の出場。特に8月の右ふくらはぎ肉離れでは、自身が選手生命の危機すら感じたほどでした。
「ここまでコツコツやってきた。これからもコツコツやりますよ」
ここが終着駅でないことは誰もが分かっています。最強の9番打者として、内野陣をまとめるベテランとして、金子誠選手は金子誠選手らしく前に進んでくれることでしょう。
■ウルフ投手 <6回、球数106、打者27、安打4、三振2、四球2、失点1、自責点1>
「今回もショータ(大野選手)が素晴らしい仕事をしてくれた。打線も打ってくれたしね。寒さは問題じゃなかったよ。みんな同じ条件だし、寒いときは寒い。そういうもんだよ(笑)。」
■梨田語録
「長い試合だったね。中継ぎはあまり出したくなかったけどね。相手チームのミスもあって、効率よく点が取れた。打線はつながっている。中田も2本打ったしね。2本目は、向かっていく気持ちがあったから打てたヒット。(体が)開いてたら打てない。昨日1本打って良くなったかな。昨日の稲葉の3000塁打に続く記録が出た記念の日に勝てて良かった。貯金を作ったという雰囲気ではないけど、去年はこの時期ずっとマイナスだったから。いいことですね。」