

■広報レポート <最後まで諦めない>
六回が終わったころのこと。選手サロンにアイシングをしながら入ってきた先発・ケッペル選手が、何度も首を振りながらこう漏らしました。「本当に信じられない試合になった。みんな諦めてなかった」。二回に一気に8点を失っていた右腕の言葉には、その分だけ重みがありました。
四回に1点を返して7点差。これが“序章”でした。五回。先頭のスケールズ選手から3連打で無死満塁にすると、相手の失策で2点を返します。さらに、稲葉選手の右前適時打で4点差とし、小谷野選手が左中間に2点適時打を放って2点差としました。鶴岡選手にも適時打が出て1点差。続く六回、小谷野選手の中犠飛で同点に追いついたのです。
「みんな諦めない気持ちを持っていた。その流れで打てたヒットだったね」。選手の想いを代弁したのは稲葉選手。八回裏に勝ち越されたものの、土壇場の九回には鶴岡選手が起死回生の同点本塁打を左翼席に放り込みました。鶴岡選手はこの今季1号ソロで猛打賞まで記録。「9失点したんで素直には喜べません」と苦笑しながらも、最後に自分のバットで負けを消してホッとした表情を浮かべていました。
リードを奪うことはできませんでした。ただ、引き分けに持ち込んだ粘りは驚異的ですらありました。何よりも「絶対に諦めない」という気持ちが体現された、価値のある一戦でした。
■ケッペル投手 <5回、球数94、打者23、安打6(本塁打1)、三振4、四球2、失点8、自責点8>
「信じられない試合になった。みんな諦めなかったし、いまも戦い続けている。自分のことを話すよりも、きょうは攻撃陣のみんなに敬意を表したい。逆転できると信じて応援するよ。」
■梨田語録
「8点追いついたけど、あっという間の8点だったね。ものすごい勝ちがある、8点というのは。まさか追いつけるとはね。前向きに捕らえたい。(九回に同点弾を放った)鶴岡はアゲンストの風の中だからびっくりした。すごかった。夏の暑さや風で神経を使う試合だったけど、よくやってくれました」