■広報レポート <敗戦の中で吹いた風>
悔やまれる1球でもあり、経験値を増やす1球でもあったでしょう。先発マウンドに上がったのは2年目の中村選手。1点リードの四回、先頭打者の西武・中村選手に左翼スタンドに同点弾を浴びました。「もっと低めに意識付けができていれば防げたと思う」。同点に追いつかれたままマウンドを譲り、今季初登板での初勝利を飾ることはできませんでした。
ファームでは先発ローテを守って18試合に登板し、8勝を挙げて防御率も2.59。イースタン公式戦の日程が終了したタイミングで一軍昇格を果たしました。チームがCS進出を争う中での抜てきに、緊張感を漂わせながらも目を輝かせていました。さらに、投げ合う相手が同じく高卒2年目の菊池雄星選手。気合が入らないわけはありませんでした。
先頭打者に四球を与えてボークで二塁に進めたものの、冷静に無失点で切り抜けると失ったのは一発による1点だけ。鶴岡選手が見せた“攻めのリード”もピタリとハマり、伸びのあるストレートで外野フライに打ち取るという理想のピッチングを披露しました。吉井投手コーチも「ファームからの報告と違うんだけど、まっすぐで押せているね」と目を細めていました。
投打の歯車が噛み合わず連勝は「2」でストップ。クライマックスシリーズ進出決定は10日以降に持ち越しとなりました。しかし、シーズン最終盤のチームに10代の右腕が風を吹き込んだのは間違いなさそうです。
■中村投手 <5回、球数86、打者20、安打3(本塁打1)、三振3、四死球2、失点1、自責1>
「久しぶりの札幌ドームで緊張しましたが、何とか最少失点に抑えることができました。課題である変化球のコントロールがまだまだで、精度を高めていかなければいけないと感じました。中村選手の本塁打はもっと低めに意識づけができていれば防げたと思います。」
■梨田語録
「中村は今シーズン初登板の中、よく5回まで放ったと思います。(3番手の)石井が原選手に外の変化球をうまく打たれて、増井をイニングの途中から投入しなければならなくなってしまった。10回、11回も計算していたんですけれど、ああなると計算どうこうではなくなるんでね。中継ぎには頑張ってもらうしかないですから。(CS進出決定へあと1勝も)決まる決まらないではなく、明日勝つことに集中するだけです。」