

広報レポート<放たれる異彩>
9回表2死一、三塁。一打同点の場面で右ひざ打撲により2試合欠場していた小谷野選手が代打に告げられると、ライトスタンドのファイターズファンがどっと沸き返りました期待を一身に集めたバットは、牧田選手の高めのストレートに空を切り、試合終了。それでも最後の瞬間まで手に汗握る熱戦を演じる、栗山野球の真髄が見えました。
その象徴とも言うべきは、二岡選手の存在です。この日も9回2死一、三塁の場面で代打で登場。詰まりながらもしぶとく右前に運び、ベンチの期待に見事応えました。開幕前、栗山監督は「代打は2回に1本でいいから打ってくれ」と、貴重な一振りにかけるベテランに声を掛けたと言います。気楽に打席に向かわせたいという指揮官ならではの心遣いも、率にすれば5割を求めるハードルの高いもの。それに対して二岡選手はここまで10打数5安打2打点と、きっちりその線をキープしています。
勝負所に切り札が控えるからこそ、スタメンも各々の出番で役割を果たせるのでしょう。9番三塁で2度目の先発出場となった中島選手は5回の第2打席、ボテボテの三塁線の当たりに俊足を飛ばしてうれしいプロ初安打を記録。4番の中田選手も先制適時打を含む3本の中前打を放ち、復調気配が見えます。勝ち負けに関係なく、全てを出し切る姿こそが人の心を打つ―。指揮官の目指すものが確実に形になりつつあります。
八木投手<5回、球数109、打者23、安打6、三振2、四死球3、失点3、自責点3>
「調子はそんなに悪いということはなかったです。ただ、先頭打者を出して苦しくなって、ボールが先行する形になってしまった。その部分を反省して、次に生かさないといけない。まだ試合は続いているので、逆転できるように応援します。」
栗山語録
「最終回はらしさを見せてくれた。敗れるにしてもみんなのそういう思いは大事にしていきたい。攻め切れなかったというところだね。(八木選手は)今日はあんまり良くなかったから、先にもっと点を取ってあげたかった。(3安打の中田選手は)昨日のフォアボールから見ても、もう大丈夫でしょう。内容もいいしね」