2012.05.28 MON
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広報レポート <誰かのために、チームのために>

 ヒットの数が少なくても、その一本が決勝打になる。打率1割台の男が4番の座を明け渡さずにここまできたのには、そんな理由があるからかもしれません。同点で迎えた7回無死1塁。フルスイングから放たれた打球は左中間スタンドに吸い込まれていきました。5月4日以来となる4号2ラン。中田選手は久々の感触を聞かれ、「気持ちよかった」と照れ笑いを見せました。

 ここまで47試合。一度も打順が変わらなかったのは中田選手ただ一人です。不振にあえぎ、心が折れそうなときもありました。しかし、そんなときに思い出されるのが指揮官の決意でした。「この先の10年間、4番を張れる打者を作るのがオレの仕事」。その言葉を意気に感じてプレーを続けた中田選手は、一進一退を続けながらも確実に前に進んでいます。

 選手ひとり一人が自分のためだけではなく、誰かのために戦う。それは中田選手だけではありません。先発・八木選手のあとを受けた榊原選手がピンチを招いた6回、2死1、3塁でマウンドに上がったのは乾選手でした。4球で右飛に抑えると、ベンチ裏で榊原手は「乾に助けられた」とホッとひと息。この回には田中賢選手、糸井選手の守備での好プレーもあって無失点に抑え、直後に中田選手が決勝弾。試合後、乾選手の手にプロ初勝利のウイニングボールが渡りました。

 8回に登板した宮西選手は、3者凡退に抑えると珍しく感情をあらわにしてガッツポーズ。「マウンドに行く前に、勝ったら乾が初勝利って聞いたから」。チーム全体の執念と気合で勝ち取った1勝に、試合終了の瞬間にベンチが大きく湧いたのは言うまでもありません。

 明日は休養日。宿舎に戻る通路で、鶴岡選手は満面に笑みを浮かべてこう話しました。「きょうみたいな勝ち方をして休めるって最高ですよ。明日はいい休日になりそうです」――。

八木投手 <5回、球数70、打者20、<本塁打1>、三振2、四死球2、失点1、自責点1>

「調子はあまりよくなかったけど、球場との相性もいいので、いいイメージで試合に入っていけました。先制点を取ってもらったし大胆に投げられました。一発は打たれてしまいましたが、最低限のことはできたかなと思います。このあとはブルペン陣と野手のみなさんに任せて応援します。」

栗山語録

「(中田の決勝アーチに)ジャイアンツとの試合の中で、周りが見ているよりも本人は苦しんできたと思います。4番が打てば勝てるし、打てなければ負ける。それを分かった上で打ってほしかったし、こっちもそこにこだわってきた訳で。同点で勝ちパターンの投手を使っていったベンチの意図を、翔も分かっていたんだと思います。(初勝利の)乾にはあえてジャイアンツの厳しいところで行ってもらって、怖さもあっただろうけれど(高橋)由伸を抑えて前に進んでくれるはず。ベンチから見上げると(巨大広告の)長嶋(茂雄)さんがいらして、ちゃんと野球やってるのか?と問いかけられている気がしていました。改めてというか、初めの一歩を踏み出せて自分のやるべきことをしっかりやっていきたいと思います」

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