2012.07.10 TUE
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広報レポート <10度目、72日ぶり>

 試合中と変わらぬポーカーフェースを崩さないところに、武田勝選手の興奮が隠されているようでした。ヒーローインタビューでスタンドを沸かせた後、お立ち台でバースデーケーキが振る舞われて一口。「こんなことは滅多にないから」。そう話す表情も、緊張が溶けた試合後のものではありませんでした。

 あまりにも長い時間でした。4月29日に4勝目を挙げ、今シーズン最初の月間MVPにも選出されました。「これを弾みにしていきたい」という言葉からすでに71日が過ぎていました。その間に9度先発し、勝ち星はゼロ。「どれが一番というより、どの負けも堪えました」。それでも、週に1度の出番で全力を尽くすことだけは変わりませんでした。

 「三振、狙ってましたね」。物静かに、しかし語気を強めて振り返ったのは、1点リードで迎えた6回2死二塁の場面。カウント3ボールからフルカウントに持ち込み、最後はチェンジアップで角中選手を空振り三振に打ち取りました。バットが空を切ったのを見て「自然に」ガッツポーズが飛び出すほどでした。

 あの武田勝が三振を狙って取る――?。その疑問に対し、左腕は実に明快に答えました。「向こうの流れを止めるには三振しかないから。なかなかないことだけど。2006年の日本シリーズ(第3戦)で谷繁さんを三振に取ったときも、狙って三振に取れた。ガッツポーズも自然に出たんですよね」

 この日の練習前には投手陣だけでミーティングを行い、結束をより一層強いものにしました。その“先陣”を切ったエースが、本来のらしいピッチング。後を受けた増井選手、武田久選手も完ぺきに抑えました。

 6月6日にバースデー勝利を挙げた斎藤佑選手が「最強の24歳になる」と話したのに対し、ちょうど10歳上の左腕はニヤリ。「いや、最強とかそんなこと僕には言えません」。たとえ最強でなくても、間違いなくリーグ屈指の34歳左腕。再びスタートを切りました。

武田勝投手 <7回1/3、球数103、打者28、安打6、三振3、四死球0、失点1、自責1>

「自分なりに思い切って攻める気持ちで行きました。何も考えず、行けるところまで行こうというのが結果的に良かったと思います。リードした展開でリリーフに託しましたので、この後はしっかり応援します。」

栗山語録

「(武田)勝には中々勝ちをつけられなくて申し訳ないと言い続けて、そういう意味では本当に大きいですね。まだ借りはいっぱいありますが、これで一歩前に進めると思います。(6回の中田の好捕は)その前にベンチでしっかり守っていこうと声が出ていて、みんなの思いが一つのプレーになったと言えるし、今日みたいにみんなで勝ったというのをいい方向につなげたいですね。首位の背中が見えたというのはおこがましいので、勝負が出来る位置から落ちないよう、今日勝ったことを大切にしていきたいと思います」

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