2012.07.16 MON
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広報レポート <総力戦の中で>

 同点で迎えた9回に作った無死満塁のチャンスは、結果的にサヨナラ勝ちにはつながりませんでした。それでも「前半戦の残り2試合は総力戦になる」という栗山監督の執念は、積極的な選手起用に表れていました。投手陣では今季は先発登板しかない多田野選手を2番手で投入。ベンチ入りした野手は、捕手以外の全員がグラウンドに立ちました。

 終盤までもつれる展開に持ち込んだのは、先発投手の踏ん張りがあったからです。ファイターズの先発は谷元選手。プロ入り4年目で、誰も踏んでいないマウンドに初めて上がりました。立ち上がりいきなり四球での出塁を許し「パニックになりそうだった」と振り返ります。しかし、その後をしっかりと抑えて波に乗りました。「フォームが“横振り”になってきた」という4回からはピンチを背負いながら5回の1失点だけ。5回裏に勝ち越してもらい、勝利投手の権利を得てバトンを渡しました。

 ファームで2度の先発調整登板をこなし、一軍からのお呼びを受けました。吉井投手コーチは言います。「ワシの夢がまたひとつかなった」。ファームのコーチ時代から温めていたプランが現実のものとなっただけではなく、結果もついてきました。試合後、栗山監督は谷元選手に再び先発登板のチャンスを与えることを明言しています。

 勝ち星が伸びない7月ですが、若手選手の新たな才能が開花しつつあるのは紛れもない事実。そして、前半戦最終戦は大黒柱の武田勝選手が登板します。いい形でオールスターブレイクに入りたい。チームの誰もが明日の1勝の重みを理解していることでしょう。

谷元投手 <5回、球数89、打者22、安打4、三振4、四死球3、失点1、自責点1>

「疲れました。先頭打者にフォアボールを出した時にはヤバイと思いましたが、そのあとをしっかりと抑えられたので乗っていくことができたと思います。一度追いつかれたのに勝ち越してもらえたので打者のみなさんにも感謝しています。このあとはチームが勝てるように応援します。」

栗山語録

「(9回無死満塁のサヨナラ機を逸し)向こうも打たせまいと配球してくるし、思考合戦のような感じになったけれど、それでも取らないといけないよね。流れが悪い中、よく我慢したという思いもあるし、この引き分けがいいのか悪いのかシーズンが終わるまで何とも言えない。(初先発の)谷元は5回でバテたけれど球に力があるし、違うタイプの先発になれるという思いがあります。夏場は7、8人の先発投手が欲しいし、次ももう一度先発で準備してもらいます。明日は前半戦最後、ここまで何をやってきたのかきっちり見せたいし、どういう形でもいいので勝ちに行きます」

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