2012.08.11 SAT
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広報レポート <消せない記憶>

 あらん限りの力を振り絞り、最後まで強打のライオンズ打線を寄せ付けない投球でした。先発の吉川投手が安打わずか2本、三塁を踏ませない内容でルーキーだった2007年7月12日バファローズ戦(札幌ドーム)以来、実に5年ぶりの完封勝利。9回2死から代打・中村選手を迎えてストレートは151キロを計時し、追い込んでからスライダーで空を切らせると珍しくガッツポーズを作って雄たけびを上げました。

 西武ドームでは苦い思い出がありました。6月30日のこのカードに先発し、5点のリードをもらいながら6回裏に突如崩れ一挙6失点。「やられっぱなしで終われない。やり返したいと思ってきました」。序盤を力勝負で抑えると、中盤以降は変化球を主体にして目先を変える巧妙さ。打者に向かっていく強い気持ちが功を奏し、プロ入り初めて無四球という結果もついてきました。

 吉井投手コーチは2010年5月、苫小牧でのイースタン・ライオンズ戦の記憶を呼び起こしていました。「きょうの相手の武隈君に完封された試合で、吉川も6回1失点やったと思う。借りを返してもらいたかった」。アイシング後にその話を吉川選手に向けると、「相手投手が誰だったかは忘れましたが、浅村選手に犠牲フライを打たれて負けたことは覚えています」と答え、1点の重さをしっかり刻み込んでいました。

 「ゆっくり出来る時間があったら、ヨーロッパで美術館巡りがしたいんですよね」と背番号34は話したことがあります。野球から頭の中を開放し、芸術に触れてみたいという願望は日頃いかに仕事に没頭しているかの裏返しでしょう。チームトップの9勝目を飾り、「チームが勝っていけるようしっかり投げていきます」。当分はローテーションの中心として試合を作ることに集中する日々が続きます。

吉川投手 <9回、球数127、打者29、安打2、三振8、四死球0、失点0、自責0>

「相手打線が当たっているので初球の入りに気をつけました。鶴岡さんが自分の良さを引き出してくれたと思います。5年ぶりの完封勝利については、ずっと最後まで投げ切りたいと思ってやってきたので、しっかり投げることができて良かったです」

栗山語録

「吉川ね、ホント良かった。前に進んだね。今のライオンズ打線に点をあげないのは難しい。その中で特に無四球というのがね。カウントが苦しくなったときに歩かせなかった。自信になってくれるといいし、すごくうれしい。スライダーのコントロールが良くなって安定感が増した。それでいてまっすぐの勢いが落ちない。ひとつの形を作り始めている。安心しちゃいけないんだけど、自信にして欲しい。きょうの試合は本当に意味のある試合だった。勝てて良かったですね」

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