

広報レポート <初完封は逃しても>


詰まった当たりのゴロが三遊間をしぶとく破っていくのを見て、ウルフ選手は軽く天を仰ぎました。9回1死三塁。1回から8つ連続で並べていたスコアボードに、初めて「0」以外の数字が入りました。来日初完封勝利を逃して「少しがっかりした」と正直な気持ちを吐露した右腕。しかし、それで緊張の糸が切れることはありません。「まだ試合は終わってなかったから切り替えた」。次の瞬間にはそれまで保っていた闘争心を前面に押し出し、後続にヒットを許しませんでした。初完封は次回以降にお預けになったとはいえ、自己最多となる9三振を奪っての今季7勝目でした。
圧巻だったのは2回先頭からの5者連続三振です。落差の大きいカーブを決め球に温存。手元で動くボールで追い込んで、最後に空振りを取る投球で三振の山を築きました。「ショータ(大野選手)の組み立ても素晴らしかった」と振り返るように息もぴったり。ベンチで見守った吉井投手コーチも目を見張るほどのキレを見せたツーシームとの“合わせ技”で、8回までは二塁を踏ませない快投を披露したのです。
前日までの旭川シリーズが乱打戦となったこともあり、中継ぎ投手陣を簡単にはつぎ込めない試合。その中で9回を投げ切ったことには、普段以上の価値があります。もちろん、この2戦で21得点を挙げた打線も、2回までに大量得点で援護できたのも大きいでしょう。「点を取ってもらってアグレッシブにいけた」。投打がかみ合って首位をがっちりキープ。明日から仙台での3連戦に臨みます。
栗山語録

「ウルフは本当にボールが動いていたし、どの球種も思ったところにコントロール出来ていた。可能なら完封させてあげたかったけれど、最後まで自分らしい投球が出来てたと思います。打つ方では1回、ホームラン性の打球を打った(中田)翔がその後に四球を選んだことが大きかったし、2回に(糸井)嘉男の2ランで追加点が取れて主導権を握ったまま行けましたね。今日はスカウトの方が来られていて、選手たちは久しぶりに担当スカウトに見守られて安心してプレーしている感じがしました。愛情を持って仕事をしてくれる人に感謝の気持ちを忘れず、この先もプレーして欲しいですね」