2012.09.01 SAT
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広報レポート <5番、試合を決める>

 真ん中高めストレートを完ぺきに捕らえました。同点で迎えた9回1死一塁です。打球は弾丸ライナーで左翼席へ。スタンドに吸い込まれる前に、ベンチにいた誰もが両手を高く掲げていました。ゆっくりとダイヤモンドを一周したのは、5番に起用された小谷野選手。仲間が待つベンチに戻って祝福を受けると、はにかんだ笑みを浮かべました。

 一昨年の打点王も、2番打者としての起用が多い今季。シーズン中盤にはこんなことを話していました。「バントでも何でもやります。でも、こんなに2番が難しいと思わなかった」。走者を還すことではなく、自らを犠牲にすることでチームに勢いをつける。その役割を理解する一方で、本来の思い切りのいい打撃ができないというジレンマを抱えながらの戦いが続きました。しかし、この一戦で指揮官の強い思いが小谷野選手の背中を押したのは見逃せません。

 初球はバントの構えでボールに。さらに2球目もボールとなったところで、田中打撃コーチが小谷野選手に歩み寄りました。田中コーチは言います。「1球目を見て監督に思うところがあったのかもしれない。それで、栄ちゃんらしいスイングをしよう、って話したんだよ」。3球目は見逃しストライク。そして、4球目を体勢が崩れるほどの強さでスイングしました。その鋭さは2番打者ではなく、5番打者のもの。「(中田)翔を何とか進めたかった」と振り返りますが、打つことで走者を進めるという“解き放たれた”打撃が、最高の結果を生み出したのです。

 「今年は目立たないようにやります」と話してきた男が輝きを放ち、今季初めてのヒーローインタビューを受けました。「2番だったら遠慮してたかも」とニヤリ。勝負の9月。渋くチームを支える選手の力が、ひときわクローズアップされる季節がやってきました。

谷元投手 <6回、球数92、打者24、安打4、三振8、四死球2、失点1、自責点1>

「先制点を取られたのが残念ですが、ストライク先行でいけたし、まっすぐもカーブもよかった。カーブで空振りを取れたのが大きかったです。このあとは強力なブルペン陣に任せて、チームが勝てるように応援します。」

栗山語録

「(小谷野)栄一がよく打ってくれました。今年は2番を打たせたりして、中々リズムをつかませてあげられずにいたし、あの場面は本塁打とか少ない確率のものを期待するところではなかったけれど、今日は一番調子がいいなとは見ていました。相手の陽のお兄ちゃんもすごく良くて、ストライクゾーンに来ても押し切られる感じだったけれど、谷元がそれに負けず粘ってくれたのも勝因。もう少し点を取らないと投手にも負担がかかるし、明日向こうは武田君でいい投手だけれども何とか1点でも多く取って行きたいと思います」

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