2012.09.07 FRI
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広報レポート <持久力と修正力>

 最後の打者を空振り三振に打ち取ると、ようやく表情が緩みました。ボールを受け取ってチームメートとハイタッチを交わす。吉川選手に向けられた仲間たちの笑みは、紛れもなく全幅の信頼を置くピッチャーに向けられるもののように見えました。最後までマウンドを譲らずに勝ち取った12勝目。奪三振は自己最多の13個にまで積み上げました。

 「ひとり一人のバッターを抑える。1イニングをしっかりと投げる」。決してはじめから完投を考えることはない。27のアウトは結果としてついてくるもの。開幕から変わらない一球入魂のスタイルが、昨年まで3年連続で勝ち星のなかった左腕をシンデレラ・ボーイに仕立て上げました。

 スタミナにはずっと自信を持っていました。「一軍とファームではスタミナの減り方は全然違います。でも、たぶん今なら150球くらい投げても球威は落ちないと思います。そのためにキャンプで投げ込んできたから」。秋のキャンプでは毎日ブルペン入り。春のキャンプでは200球に及ぶ投げ込みを敢行したこともありました。投球時のバランスを体に染みこませること、そしてスタミナをつけること。夏場に差し掛かり、その成果がはっきりと見えてきました。この5試合で3度目の完投勝利。8月度の日本生命月間MVP受賞は驚きよりも“十分あり得べきこと”として受け止められたはずです。

 さらに、ローテの中心としての成長した要因として「試合での修正力」があることを見逃すわけにはいきません。この日も立ち上がりはマウンドの高さがしっくり来ず、ボールが高めに浮きました。2回には連打で失点。それでも中盤に入るころにはボールを低めに集められました。4回以降に許した安打は1本だけ。四球から走者を3塁まで進めた7回も最後は空振り三振に打ち取り、バファローズ打線につけいるスキを与えませんでした。

 「優勝に向けてチームのために投げることしか考えてない」。大言壮語はナシ。ペナントレースが大詰めを迎えても、足元をしっかりと見据えて投げ続けます。

栗山語録

「(吉川の完投勝利に)うれしかったし、最初の頃を思い出しました。京セラドームのマウンドは高めで、序盤高めに浮いていたけれど途中からアジャストしてくれた。完投させようとは思っていなかったけれど、中心打者への投げっぷりが良かったんでね。(中田の決勝弾に)一昨日ああいうゲームをして払拭しなければいけないところで、初回に出たのも大きかった。賢介のためにも頑張らないといけないと思っているし、この1試合をいかに勝つかが大事。来週は9連戦があるけれど、昨日休みで今日吉川が完投したので明日は全員がいけると思います」

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