

広報レポート<安堵と歓喜>


打球が左中間スタンドに消えた瞬間、ベンチで見守っていた栗山監督は試合中とは思えないほど表情を崩しました。「いやあ、うれしかったですね」。そう振り返る一打は、8回の先頭打者として打席に立った岡選手が放ったもの。ファームスタートから一軍合流の切符をつかんだルーキーは、“プロ初アーチ”で指揮官の期待に応えてみせました。
強肩と走力が持ち味。しかし、打力でも存分にアピールしています。実戦で3試合連続安打で、ここまで出場した実戦の5試合でヒットを記録できなかったのは1試合だけ。一方で、2試合連続で犠打を失敗する場面もあり、試合後には林コーチ、白井コーチが付きっきりでバント練習を行いました。すべてのプレーが勉強に。「ミスを何とか取り返したいと思っていました」と硬い表情で話すその初々しさが、チームを活気づける要因であることは間違いありません。
安定感でチームを勇気づけるのは投手陣の踏ん張りでしょう。この日の先発は武田勝選手でした。キャンプ中盤まで国頭でしっかりと体を作って名護に合流。4ヶ月ぶりとなる打者との対戦を無事に終えて「緊張した。ストライクが入ってよかった」とホッとした表情を浮かべました。栗山監督も「安心した」と胸をなで下ろした様子。2番手以降でマウンドに上った武田久選手らも無失点と結果を残しています。
名護でのオープン戦は連勝スタート。「まだまだ課題はある」と兜の緒を締める指揮官ですが、はっきりとした手応えを感じながら、残り1週間、最後の調整に臨むことができそうです。
選手コメント
武田勝選手
<2回 打者8人 安打2 三振2 失点・自責点0>
「実戦は4ヶ月ぶりなので緊張しました。ストライク先行、バッターに向かっていく気持ちは忘れないようにした。全球種を投げられたことは良かった。クイックやフィールディングなどの課題を次回以降に活かしていきたい。」
稲葉選手
<1回 先制の左前2点適時打 P・三上>
「打ったのはスライダー。振り切った分、いいところに落ちてくれました」
中田選手
<4回 中越え3ラン本塁打 P・北方>
「真っ直ぐでしたね。制球が安定していなかったので、(ストライクを)取りに来るだろうなと思っていました。しっかり振り切れて手応えもありました」
栗山語録

Q. 先発した武田勝選手が2回無失点でした
「安心しました。体の状態さえよければ、勝なりに投げてくれることは分かっているので。きちっと投げようという姿勢が見えましたし、体が順調だと確認できてよかったです」
Q. 2番手以降の投手も安定していました
「こういう風になるといい相乗効果が出ていると言えますね。四球一つ出しても目立つし、ボールボールと続けば嫌な空気が出てくる。結果が出なければという思い(危機感)で投げていると感じているので、そこはいい形で前に進み始めています」
Q. 中田選手に四番らしい一発
「まあ普通です。本塁打の後の打席(6回の一邪飛)で変化球に狙いがちょっとずれたことを悔しがっていた。頭の中と相手の攻めのすり合わせをやっていて、残念がるところに成長が見えるので。そういう中で確率が上がっていけばよりいいですよね」
Q. 岡選手にもオープン戦初アーチが出ました
「大学で投手をやっていて(送りバント失敗など)細かいミスもプラスになると言っているけれど、結果が出れば前向きになれるはず。嫌なミスの後にどうプレーできるかをこちらは見ている。うちにいないタイプの外野手で、今日でもボテボテの遊ゴロでぎりぎりアウトでしょ?何かを感じさせてくれる選手」