

広報レポート<水を得た主砲>


苦笑いの裏にも安堵の表情を隠すことはできませんでした。4回1死。中田選手が放った打球は、右翼ポール際のスタンドに飛び込んでいきました。オープン戦3号アーチは実に32打席ぶりの一発。逆方向への当たりを「振り遅れですよ」と表現しましたが、しっかり捕らえればスタンドまで運ぶパワーは相変わらず。直後にベンチ裏で陽選手から「ちゃんとおっつけて打てていたよ」と声を掛けられると、思わず頬を緩ませました。その後の2打席でも中前打、右前打。オープン戦初のマルチ安打を猛打賞で飾りました。
この日はキャンプでは練習すらしなかった外野での出場でした。「慣れてる場所なんで、やっぱり守りやすかった」と振り返ります。ここまで三塁に挑戦してきた男は、確かに水を得た魚のように躍動しました。とはいえ、この3安打が外野を守ったから記録できたと断じることは早計かもしれません。「そことは関係ないところで悪くなっていた」と栗山監督は話します。何よりも、オープン戦の終盤に上昇のきっかけをつかんだところに、大きな意味が見出だせるのではないでしょうか。
中田選手以外にも、近藤選手が先制2ランを放ち、陽選手も復調の兆しを感じさせる特大弾を放ちましたが、試合には敗れてオープン戦4連敗。しかし、試合後のミーティングで白井コーチのゲキが選手サロンに響きました。「いままでやってきたことは間違いじゃない。何も不安になることはない」。試合に負けても、チームの為に自分は何ができたのか。オープン戦は公式戦以上に、そのことを意識する場所です。オープン戦は残り3試合。開幕戦へ向け、戦う準備をしっかりと整えていくだけです。
選手コメント


近藤選手
<3回 先制の右越え2点本塁打 P・寺原>
「しっかりと叩けました。ランナー1塁だったので、引っ張って一、三塁を作るイメージだったんですが、ボールがいい感じに上がってくれましたね。」
中田選手
<4回 右翼線本塁打 P・寺原>
「おっつけられたというよりも振り遅れですよ(苦笑)。バットのいいところに当たったということで。」
木佐貫選手
<4回 75球 打者20 安打5 三振1 四球3 失点・自責点4>
「フォアボールを出さないことと先頭打者を出さないこと、ここができないと失点してしまう確率が高い。1回や2回のようにやっていきたかったんですが。感触云々よりもシーズンに入ったら結果ですから、ここでも結果を大事にしないといけなかった。」
栗山語録


Q.中田選手の3安打は左翼起用が影響したのでしょうか
「それは本人に言ってきたから関係ない。そこ(三塁起用)とは関係ないところで悪くなっていたんだから。ただ、状態を上げないといけない時期に来ているのは確か」
Q.左翼起用が続きますか
「三塁がなくなったわけではない。開幕に向けてどの形がチームが勝ちやすいかを考えているし、この(左翼起用の)選択肢は最初からあるわけだから」
Q.アブレイユ選手が右翼でスタメンに入りましたが守備に就かず交代
「打席が足りないから。(アブレイユとミランダの)2人とも代打だと打席が回ってこない可能性があった」
Q.4回4失点の木佐貫選手の評価は
「球は悪くなかった。この打線をみればつながるのは分かっているんだから、無駄なフォアボールは出しちゃいけない。木佐貫が一番悔しいと思う」