

広報レポート<安くなるべき高い授業料>


内角を突くはずだったストレートが“ここだけには行ってはいけない”ところに向かっていきました。真ん中高め。相手チームの4番が一閃したバットから放たれた打球は、札幌ドームの天井をかすめるほど高く上がり、左翼席の上段に消えていきました。
3回2死から連打を浴びて一、二塁。そして、カウント1ボール1ストライク。ここで内角へ投げ切れなかったことはもとより、そのボールやコースを選択したことが正しかったのかどうか。そこまでストライク先行には成功していた上沢選手は、「調子は悪い方ではなかった」と振り返ります。自らの状態を信じて投げた一球が思い通りにコントロールできなかったのかもしれません。一方で厚澤投手コーチは「武田勝が(中日戦で)打たれたような、手を尽くしたけどやられたというボールじゃない。悔いが残る一球だろう」と評しました。
この失投が決勝点となり、文字通り“高い授業料”を払う結果となりました。ただ、20歳の右腕にとっては、登板するすべての試合が鍛錬、修行の場です。いつか何倍にもなって返ってくるならば、決して高くはないでしょう。立ち上がりや5回の三者凡退には見るべきものがありました。この敗戦で何を感じ、次にどんなピッチングを見せてくれるのか。抑えること、打たれること。その両方を経験しながら、エースと認められる存在になるための階段を登ってくれるはずです。
上沢選手<5回 打者23 球数73 安打8(本塁打1)三振3 四死球1 失点・自責4>

「ストライク先行で投げられて、調子は悪い方ではなかったですが、インサイドが甘くなってしまいました。相手(6勝を挙げている井納投手)のことは全く意識せず投げたつもりです。3回2死からつながれて、一番打たれてはいけない打者に本塁打を許したことが今日の全てです」
栗山語録

Q.相手の井納投手を攻略できず完封を許しました
「元々先に行かれ(先行され)てはいけない相手で、いい投球をされたとはいえ何とかしないといけなかった。しようとはしていたけれども、簡単にはいかないのが交流戦。そうならないようにしていかなければいけないですね」
Q.先発の上沢選手はブランコ選手の3ランが痛かった
「疲れが抜けて球は悪くなかったけれど。やられたとはいえ、球は戻ってきているので、こういう悔しさを学びにしてくれればと思います」
Q.大谷選手は17打席無安打と結果が出ません
「でもまあ(荒波選手に好捕された)最後のはヒットなので。もちろんプロなので攻めが厳しくなると思い通りにはいかない。なるべく(打てない)スパンを短く、が理想だけれど」
Q.明日に向けてひと言
「交流戦は(1カード)2試合しかない。今日感じたことを整理して、やるしかないと思っています」