

広報レポート<流れをかぎ分ける嗅覚>


2点を追う7回。先頭の中島卓選手が四球を選んだ瞬間、稲葉選手は「球場の雰囲気が変わった」と感じていました。1死一、二塁となり、10試合ぶりに5番一塁でスタメン出場となった背番号41に降り注ぐ稲葉ジャンプ。ベテランの左翼線適時打が呼び水となり、5連続適時打で一気に逆転。首位ホークスを終盤にうっちゃり、5連勝で札幌ドームのスタンドを沸かせました。
開幕直後に左ひざ手術に踏み切った稲葉にとり、これが今シーズン初の適時打。「結果を考えすぎず自分のスイングを心掛ける」。知人に頼まれれば札幌市内の少年野球の練習に飛び入り参加し、臨時コーチを務めることもしばしば。心の中でつぶやいたのは、子供たちに送るアドバイスそのままで、自らの打席で実践してみせたのです。
大引選手の適時打で追いついた後、代打で登場した小谷野選手も「球場全体のムードが明らかに変わっていました」と振り返ります。スタメンを外れた日は自らの役回りをしっかりと熟知。「1打席しかないから考えすぎず、シンプルに」と、2試合連続代打で決勝打をたたき出した秘訣をそう話します。
5月8日以来の1軍マウンドとなった吉川選手は6四球を与える苦心の投球でしたが、6回を2失点で踏ん張りました。上位とのゲーム差が大きく開いているものの、役者がそろい、本来の粘り強さが戻ってきてムードも最高潮。お立ち台で稲葉選手と小谷野選手は「ミラクルファイターズ、これからも応援してください」と同じフレーズを口にしました。奇跡を信じ、ホークス、バファローズ、ホークスと続く正念場の3カードに恐れを抱くものは誰一人いません。
吉川選手<6回 105球 打者27 安打5 三振2 四球6 失点・自責点2>

「いいボールと悪いボールがはっきりとしていました。いいボールもあったからあそこまで行けたんだと思いますが、チームのリズムを作るようなピッチングではなかった。攝津さんと投げ合う試合で、あれだけ四球を出すとなかなかチームを乗せることができないですね。この後は逆転を信じて応援します。」
栗山語録

Q.逆転のシーンについて
「1つのチャンスを大きくするファイターズらしい点の取り方だったね。本当にみんなよくつないでくれたよ」
Q.その中でもベテランの活躍が光ったが
「彼らが勝負どころを分かっているのも知っているし、出るだけで球場の空気を変えることができることも知っている。だから信頼して送り出したよ」
Q.久々の先発吉川選手に関して
「とにかく勝たせてあげたかった。ああいう結果だったけど、いいボールもあったし、同じ四球でも内容のある四球だったんじゃないかな」