

全員野球の結晶


投手陣がひとつのアウトを取るたびに、攻撃陣がひとつボールを選ぶたびに、ベンチが大きく盛り上がりました。それはブルペンもベンチ裏も同じでした。そこにいる誰もがたったひとつの目標に向かっている証拠でした。何としても勝つ。たとえ、リーグを代表するピッチャーが相手でも、全軍が躍動すれば必ず突破口が見えてくる。ファイターズ野球の結晶ともいえる勝ち方で、“超短期決戦”の先勝をつかんでみせました。
先発した大谷選手は立ち上がりから制球に不安を残し、2回には2死二塁から4者連続の四死球で2点の先行を許します。それでも、立て直した3回からは3イニング連続で三者凡退に。これが攻撃陣にもリズムをもたらし、硬直していた試合を動かすことに成功しました。「先制されても自分が試合を作れば、野手の方々が何とかしてくれると信じていました」。5回に1点を返し、6回に一旦は逆転。直後、同点に追いつかれたとはいえ、追う展開を跳ね返した勢いで、しっかりと試合を支配していたのです。6回5安打3失点でポストシーズン初登板初勝利を挙げた大谷選手は、第2戦以降は打者での出場が濃厚。「切り替えて次の試合に備えたい」と、素振りのためにバットを持って球場を後にしました。
同点で両チームの先発が降板した後は、細かい攻撃で勝ち越しに成功しました。7回、先頭の大引選手が二塁打で出塁すると、犠打と四球で1死一、三塁となったところで中島卓選手がスクイズを敢行。これが決勝点になりました。8回には連打から近藤選手の犠飛と西川選手の押し出し四球でダメ押し。派手ではありませんが、全員で重ねた得点は、第2戦以降にもつながるに違いありません。リーグ優勝したホークスへの挑戦権まであと1勝。一気に決めにかかります。
大谷選手<6回 107球 打者27 安打5 三振7 四死球5 失点・自責点3>

「四球が多くリズムがあまりよくなかったです。最後の1点も粘りきらないといけない場面でしたが粘れずに相手に点を与えてしまいました。ただ、打線に援護してもらって点を取ってもらいましたし、守備でもバックに助けてもらいなんとか6回まで投げきれました。」
栗山語録

Q.大事な初戦を見事勝利しました
「選手はみんなキラキラしてプレーしていた。勝ってとても良かったね」
Q.(初戦の先発として)命を預けると語っていた大谷投手は6回3失点の内容でした
「そこに関してはダメだったね。本人も悔しかったろうけど。ただ、あの後(2回裏の4連続四死球)に立て直すことが重要だと本人にも伝えたし、大舞台で重圧もあっただろうし、力みもあったろうし、こういう試合を経験する事が大切だよね」
Q.ファーストステージは先に王手をかけました
「先の事は考えずに、明日もめいっぱい戦います」