

広報レポート<“2アウト走者なし”という壁>


スピードこそ140キロ台後半は出ていても、ボールが低めに集まらないと勝負するのはなかなか難しい。相手が超重量打線になれば尚更のこと。いくら大器の片鱗を見せてはいるといっても、プロ2戦目の先発登板だったルーキーに対して試合中の修正を求めるのは酷なことだったかもしれません。5回9安打6失点。初黒星を喫する悔しい一戦となりました。
先頭打者を出さないように投げることがピッチャーの鉄則だといわれます。ただ、それ以上に気をつけなければならないこと。それは2死走者なしからの失点です。有原選手は初回に2死走者なしから四球で出塁を許したことをきっかけに3ランを被弾。4回には2死走者なしからソロアーチを浴びました。百戦錬磨のキャリアを持つ木田GM補佐は言います。「“2死走者なし”は抑えて当たり前と誰もが思う。だからこそ、“あと一人”を抑えるのは周りが思っているよりも難しい。点を取られるとチーム全体にダメージが残るしね」。その言葉通りの展開となりました。6回には2番手・屋宜選手が2死走者なしから四球と連打で失点。最近6試合連続で9安打以上記録していた打線も沈黙し、今季初の2ケタ失点零封を喫しました。
前日5月23日までの45試合、399イニングで11度しかなかった2死走者なしからの失点が、この1試合だけで3度ありました。有原選手にとっては2アウトを取っても決して安心はできない、という“プロの壁”の厚さを痛感した試合になったことでしょう。それでも5回までマウンドに送り出されたのは期待の表れにほかありません。ハイレベルな打線を抑えるには何が必要なのか。前に進むためには、誰もが試練を経験します。次の登板、そして、その次の登板で成長の跡を見せてくれるに違いありません。
先発投手コメント

有原投手
<5回 98球 打者27 安打9/本塁打2 三振6 四球3 失点・自責点6>
「甘い球を長打にされてしまったことが反省点です。前回の登板よりもしっかり準備ができて、調子自体も悪くなかったんですけど、立ち上がりから点を取られリズムを悪くしてしまいました。チームに迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちです。実力不足です」
栗山語録

Q.有原選手のピッチングを振り返ってみて
「良い面も悪い面も両方ある。本人も悔しいと思うけど、個人的には感じるものが大きかった。これを糧に頑張ってほしい。(二度目の登板に対して)当然相手も色々やってくるから。色々な理由があってうまくいかないこともあるけど、次に活かせるかどうかが一番大事」
Q.交流戦に向けての意気込み
「(現在首位でも)どういう形になっても分からないし、一試合一試合死に物狂いで戦うしかない。18試合のうち、いくつ取れるかどうか。ある意味、新たな開幕だと思って戦っていくしかない」