

広報レポート<もう控え選手とは呼ばせない>

試合時間は4時間54分。鳴り物による応援は終わっても、神宮球場に足を運んだファンのほとんどは最後まで固唾を飲んで試合の行方を見守っていました。延長12回裏、1死満塁のピンチを8番手の白村選手がしのぎ切り、今季初の引き分けに持ち込みました。緊張の糸を一瞬で切らすことのできない展開。試合終了直後は誰もが疲労だけではなく安どの表情を浮かべるような一戦となりました。
決め手の一打がなかなか出ない中、光を放ったのは杉谷選手でした。第1打席の右前打で波に乗ると、1点を追う6回には死球で出塁して逆転劇に貢献。7回、11回と安打を放ち、2年ぶりとなる猛打賞を記録しました。田中賢選手の代役として5月14日からスタメン出場。田中賢選手が復帰しても、その座を明け渡すことなく出場を続け、12試合で16安打と気を吐き続けています。「いつ外されてもおかしくない立場。一打席一打席が勝負です」と常に言い続けている男は、もはや打線になくてはならない存在に。その間、8勝3敗1分と、リーグ首位に再浮上したチームの原動力となっているのは疑う余地がありません。
開幕当初は出番がなく”代走要員”としての待機が続きました。それでも持ち前の明るさを失わないだけではなく陰での努力を怠らず、常に試合に臨む準備を続けてきました。数少ないはずだったチャンスをモノにしても謙虚さを忘れずに野球に向き合う姿は、首脳陣の印象にも残っているはず。明日はどうなるか分からない危機感と、打席を多くもらえる安心感をうまく同居させ、チームに風を吹き込んでいます。「どんな時でも一生懸命やるだけ」。もう控え選手とは呼ばせない。シンデレラボーイが多く存在にする若いチームにあって、一際、その存在感からは目が離せなくなっています。
先発投手コメント

浦野投手
<3回0/3 打者19 球数64 安打6 三振4 四球3 失点・自責点3>
「マウンドを早く降りてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。今日は打たせて取ろうと思っていたんですけど、全体的に甘いところに入ってしまいました」
栗山語録

Q.今日の試合を振り返って
「勝ちたかったけどね。ただ、一番嬉しいのは延長になってからベンチが皆一緒になって、声を出して必死に戦ってくれた。よく粘り切れたし、勝ちに等しい引き分けだった」