

広報レポート<『準備』のち『気持ち』>


1点を追う9回1死一、二塁。カウント1ボールからの2球目でした。ストレートを完ぺきにはじき返した打球は、前進守備を敷いていた中堅手の頭を越え、ワンバウンドしてスタンドに入りました。土壇場で飛び出した値千金の同点適時打。勝ち越し打にはならなかったものの、石川慎選手は二塁ベース上で満面に笑みを浮かべながら仁王立ちしました。
「無心でした」と興奮を隠せない表情で振り返る4年目の外野手。指揮官から”お呼び”がかかるまで、ベンチ裏で来たるべき瞬間までしっかりと準備を重ねていました。「代打で出るならそこしかないと思っていた」。相手投手の傾向を頭に入れながら出番をイメージ。読みと体の動きを一致させて臨むことができました。そして打席に入れば、無心でボールを待つ。「自分の調子がどうとかではなくて、自分には気持ちしかないんで」。ちょうど1ヶ月前の6月28日に同じ場所で放った決勝弾を思い起こさせるひと振り。その試合からライオンズ戦で6連勝。3位に食い下がる相手に大きなダメージを与える一打でした。
中盤まで我慢比べとなった一戦で、終盤に5点を奪いました。6月2日のカープ戦以来、今季2度目となる9回表の逆転ドラマ。同点に追いついた直後、レアード選手が左越えに決勝2点適時打を放って二夜連続のヒーローになりましたが、お膳立てした男の一打もそれに匹敵するものだったことは間違いありません。
先発投手コメント

吉川投手
<6回2/3 119球 打者29 安打8/本塁打1 三振6 四球2/死球1 失点・自責点4>
「一度は立て直せたと思いますが、最後に粘り切れなかったことが悔やまれます」
栗山語録

Q. 接戦を逆転勝ちで制しました
「チーム全員の能力を信じて戦った。点差が開いてもベンチ全員の気持ちはひとつになっていたし、こういう試合は「誰が」とかではなくて本当に皆んなが頑張ってくれた。慎吾にも早くから「行くよ」と伝えていたけど、本当に集中して頑張ってくれた。レアードもそうだけど、主役ではない人がこういう風に活躍して勝てる試合は大きいよね」
Q.白村選手が粘投をみせました
「あの場面でランナーを出して、ぐちゃぐちゃになると流れも変わってしまう。ボールの状態が良いだけではダメなので、ああいう場面を抑えることによって自信につながると思う。少し前に進み始めたんじゃないかな」