

広報レポート<振り払い、植え付ける>


無死満塁からの連続三振で嫌な空気が漂っていました。しかし、バッターボックスに入った男は冷静でした。2点を追う8回。三塁コーチボックスで白井コーチは”スシポーズ”で『ホームランを打て』のサインを出していました。そして、1ボールからの2球目。落ちるボールを完ぺきに捕らえた打球は、ファイターズファンの待つレフトスタンドに吸い込まれていきました。「気分は最高だよ!」。レアード選手が放った34号は逆転満塁弾。一気に試合をひっくり返しました。
ポストシーズンを戦い抜くための重要なピースがしっかりとそろいつつあります。先発・武田勝投手は3点を奪われたものの徹底的に低めに集めるピッチングを披露すれば、西川選手は5回に右翼席へソロ本塁打。また、4番手で登板した鍵谷投手が勝利を呼び込んで3連勝と、ファームで汗を流してきた選手たちが結果を出してみせました。最後を締めた増井投手が球団記録に並ぶ39セーブ目を挙げています。
圧倒的な強さでペナントレースを制したホークスの本拠地・福岡で、今季のファイターズは想像以上の苦戦を強いられてきました。2カード連続の3連敗でスタート。それでも、その敵地で最後に劇的な逆転勝ちを収めました。札幌ドームでの対戦を含めれば3連勝。粘り強く戦って終盤に持ち込めば十分勝負になる。苦手意識を払拭するだけではなく、日本シリーズの舞台に立つためにはその場所で倒さなければならない相手に対し、ファイターズの怖さを植え付ける最終盤の戦いとなったに違いありません。
先発投手コメント

武田勝投手
<4回 75球 打者20 安打7/本塁打2 三振2 四球1 失点・自責点3>
「打線が強力なので、やっぱり要所の2本がもったいなかったですね。失投でした。ただ、調子は悪くないので、しっかり維持しながら調整していきたいと思います」
栗山語録
Q 8回にレアード選手の満塁ホームランで逆転しました
「クライマックスシリーズを想定していろんな作戦を見せているけど、きょうは選手に任せた方。レアードのホームランも大きいけど、ノーアウト満塁のケースをつくれたことが大きいよね。勝ち負けというよりも勝負の場面まで持ってこれたということだね。最後まで粘っていればチャンスは必ず来るということを選手が感じてくれたはず」