

広報レポート<覚醒への夜明け>


沈黙する姿に、今シーズンへの覚悟が見えました。札幌ドームでのオープン戦2試合目のマウンドを託されたのは、有原航平投手でした。開幕からローテーション入りが確実視され、柱の1人と目されています。本拠地での今シーズン初登板は、ほろ苦いものでした。3回を4失点。初回に中日の新外国人ゲレーロ選手に先制3ランを許すなどして7安打を集中されました。
「(開幕へ向け)こういう登板はもったいなかった」
予定通りの3回、71球を投げ終えた直後は近寄りがたい雰囲気を発していました。球団関係者の問い掛け、ねぎらいの言葉にも応答はなく無言。公式戦へ向けての予行演習にも関わらず、本気で中日打線と向き合っていた証しでしょう。自分への怒りなのか、ふがいなさなのか。終始、厳しい表情で自身のパフォーマンスに対して自問自答をしているようでした。
ルーキーイヤーの2015年は早稲田大時代からの右肘痛などの影響で、開幕は2軍スタート。昨シーズンは出だしから先発陣の一角に加わり11勝、初の2ケタ勝利をマークしました。過去2シーズン以上の躍進が期待されているのが今シーズンです。キャンプ中に一緒にブルペン入りしたベテラン武田久投手の何気ない証言が印象深く、記憶に残っています。プロ同士だからこそ断言できる、有原投手のすごみを教えてくれました。
「有原は、やっぱりボールが違う。横から見ていても、それが分かる。ちょっと力が(図)抜けている」
球春本番が迫っているとはいえ、まだ先です。この日の悔しさは、さらに仲間たちが認めているポテンシャルを目覚めさせるには必要だったと思います。乱調を憂い、発していた異様なオーラに秘めた責任感、背負う使命感が垣間見えました。この日の結果とは対照的に、有原投手の真剣勝負のマウンドが楽しみになってきました。
先発投手コメント

有原投手
<3回 71球 打者16 安打8 三振2 失点・自責4>
「初回、2回、3回とか関係なく低めにボールがいっていなかった。次は、そこを修正していけたら。(中日ゲレーロに許した本塁打は)フォークです。もっと低めにワンバウンドくらいで投げられれば良かった。(開幕へ向け)こういう登板はもったいなかった」
栗山語録

Q.オープン戦3戦目。どうみたか
「全部勝つと言ってきたんでね。しっかりやります」
Q.有原投手は立ち上がりにつかまった
「これをいい方向に変えてくれれば。やろうとしていることは理解している。順調に来ていたから、悪いことが前に進む材料になるんじゃないか」
Q.斎藤佑投手は1回無失点
「やろうとしていることが分かる。(ヒットを打たれた)変化球がもったいなかったけど、良かった」
Q.レアード選手、メンドーサ投手がメキシコ代表に合流するためチームを離れる
「元気でいてほしい。毎日電話します(苦笑)。心配は心配ですけど」