

広報レポート<遅い新春の予感>


北海道に本格的な球春が訪れました。そう確信しました。
誕生したニューヒーローが、超満員の札幌ドームを熱狂の渦へ導くドラマの主役を張りました。
巨人から交換トレードで、今シーズンから加入した大田選手です。
1-1の同点の9回です。先頭打者の中田選手、レアード選手の連打でたたみ掛け、続く田中賢選手は敬遠の四球で無死満塁。お膳立てされた最高のチャンスを、執念でモノにしました。
大田選手が、外角低めボール気味の変化球に食らいつきます。精いっぱい両腕を伸ばしてバットで捉え、ゴロで中堅へと抜きました。今シーズン2度目のサヨナラ勝ち。まだ逆襲の途上ですが、ひとまずロッテをかわして5位へと浮上しました。
大拍手のシャワーが降り注ぎ、興奮の余韻が残るグラウンド。4万1138人の観衆に見守られ、大田選手が初めてお立ち台をゲットしました。巨人時代にも経験したことがないサヨナラ打。かみ締めるように語る姿が、印象的でした。
「幸せですね。内心ドキドキしていたんですけれど。思い切っていくことしかできないので。(初球は)空振りしてしまいました。何とか、抜けてくれと思っていました」
昨年オフに巨人から新天地ファイターズで再出発することが決まりました。入団時から注目された逸材でしたが、ポテンシャルを発揮しきれずに北海道で新たなユニホームに袖を通すことになりました。チームメートと本格的な顔合わせとなった米アリゾナ州でのキャンプでは「まだ、なかなか、なじめていません」と戸惑いも見せていたが、明るいキャラクターはすぐに浸透した。
負傷で開幕1軍は逃したが、4月23日に昇格。ヘッドスライディングを敢行しての内野安打に、移籍後初本塁打などプレースタイルで個性を発揮している。2軍調整中に一緒になった中田選手が「オレが言うまでもなく、持っている力は分かっている。すごいよね」と認めるほどの潜在能力の一端を、早くも示しつつあります。
献身的な誓いに、豊かな才能が覚醒する予兆が見えました。
「とにかくチームの勝利に貢献することだけ考えていきます」
5月に入って劇的な連勝。日替わりヒーローが飛び出し、新しく加わった力が躍動している。正真正銘の猛反抗の起点になると、信じたい白星になった。
先発投手コメント

村田投手
<5回2/3 89球 打者23 安打3 三振6 四球2 死球1 失点・自責1>
「試合は作れたのでまずまず良かったのですが、あと1アウトをしっかり取りたかったです。1つでも多くアウトを取りたかったですが、前回登板よりは良くなった感覚はあるので、ひとまずレベルアップはできたかなと思います。反省はムダな四球が多かったこと。もう少し、うまく流れを引き寄せられたら良かったです」
栗山語録

Q.大田選手が決めました
「本当によかった。いろいろな思いがあるだろうけど、ファイターズに来てよかったと思ってくれればいいし、気持ちを感じる打ち方だった」
Q.先発・村田投手が好投
「特徴のあるボールを投げていた。(中継ぎも)6連戦中だけど行くところは行くといってある。みんな分かっていると思う」
Q.明日に向けて
「一つ勝つことしか考えていない。もう明日のことだけ。この試合がすべてだと思ってやる」