2008.04.13 SUN
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
R
H
1
6
2
8

■広報レポート <好投は報われる>

 志願の続投で9回を投げきったグリンは、ロッカーで一気にペットボトルの水を飲み乾し、普段にはない疲労困憊の表情を見せた。「7イニングス・100球が先発投手の役割」というのが、海の向こうでのおおよその目安。それを逆算しながらのペース配分でグリンは投球していたに違いない。しかし、開幕3週間にして早くも連日登板が続く武田久とマイケルの負担を軽減したいとの思いが、グリンを完投に駆り立てた。7回を終えた時点でグリン降板と勝手に勘違いした周囲が「ナイスピッチング」と声をかけると、「まだまだ投げる!」と鬼の形相でにらみかえしてきた。しかし、頻繁に水を口にしながらストレッチをする彼の姿から、残された燃料も残りわずかなことくらいは感じとれた。「早く彼のために何としても点を取ってやりたい」との焦りが、逆に攻撃の空回りを起こしてしまったのかもしれない。渡辺俊介を攻略したかった。しかし、今日は誰も責めることは出来ないだろう。風速5メートル、マリンスタジアム独特の風を利用した渡辺の浮き上がるボールと低めへのコントロールは、ともに素晴らしかった。「グリンを見殺し」の一言で今日の試合が表現されてしまうだろう。しかし、このチームには、グリンの奮闘を見て見ぬフリをする者など誰もいない。いつもは気持ちの切り替えが早い森本は、試合後に無言だった。グリンとロッカーの近いスレッジは、「申し訳ない」と言うかわりに黙ってグリンの肩を二度、たたいた。ファイターズとは、そういうチームだ。

 今日の好投が、白星という形で報われなかったグリンに、朗報が舞い込んだ。溺愛してやまない息子・カイル君の来日が、5月中旬と正式に決まったのだ。9歳にして大盛りラーメンを2杯たいらげるほど元気なカイル君は、チームの人気者。「札幌の街を歩いていると、僕よりカイルの方が有名人なんだ。親子でサインを頼まれたこともある」と、息子の話となると目じりが下がる。ポケットスケジュール表でなく、大きなスケジュールカレンダーを眺めながら、家族が来るまであと何日、と数えている様子は微笑ましい。疲労した体への一番の栄養剤は、カイル君の存在。一所懸命やっていても、結果が出ないときだってある。チームの結束がある限り、今日の敗戦は十分これから取り返せる。

グリン投手 <9回、打者33、115球、安打6、三振3、四球1、失点1、自責1>

「自分なりに最高の投球が出来た。渡辺俊との投げ合いで完封を狙いに行ったけれど、タイムリーを打たれた球は高めに浮いてしまった。私の方からもう1イニング行かせて欲しいとコーチにお願いして9回まで投げました。次回の登板はチームに白星をもたらすことができるよう頑張ります。」

■梨田語録

「延長10回の裏は、一か八かのプレーだった。送球が若干それてしまったけれど、延長戦に入っていただけに選手たちを責めることは出来ないね。幸先良く初回先制点をものにしたけれども、2回の表の攻撃が今日のポイントだったかな。先頭ジョーンズが左前安打で出塁しながら、チャンスを潰したのは、全く想定外だった。昨日もそうだが、2点目が遠いね!!早い回に追加点をあげていればグリンももっと楽に投げれたのに…。グリンの気迫のこもった投球を今日は最後まで援護出来なかったね。一気に打線が上向きになることは難しいけれども、ファイターズらしい「つなぐ野球」を今一度徹底して、15日からの埼玉西武戦に臨みます!!」

  1. トップ
  2. 試合情報
  3. ゲームレポート