2008.05.05 MON
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当たり前の、ど真ん中

 今日のスウィーニーの投球内容からいくと、6点差は十分なリードと誰もが思った。4回までは、鶴岡が構えたミットに吸い込まれるような制球力で、すべてのボールが低めに集まり1本のヒットも許さなかった。それだけに、四球を挟んだ連打のあと、ど真ん中に甘く入った変化球で細川に満塁弾を献上したのは本当に悔やまれる。「出来ることなら、もう一度細川に投げ直したい」と、スウィーニーは振り返る。5月1日、千葉での調整投球の際、指先の曲げ方を少し変えたことで劇的に落差が増したフォークボールと、制球力をともなった真っ直ぐのキレに自信が増していただけに、逆転負けへのショックは相当のようだった。ロッカーに戻ってきたスウィーニーは、普段なら一気に終らせる着替えの手を途中で止め、椅子に腰掛けなおし頬杖をついた。昨日、楽天・田中の前に打つ手のなかった攻撃陣が一日にして息を吹き返したことを考えると、何とか勝っておきたかった試合だ。

 敵のエラーも手伝って、初回に先制点を挙げたのをかわきりに二ケタ安打とオフェンスは活気づいた。中でも6番に入った小田の活躍が光った。右へ、左へ、逆らわず出したバットから綺麗にはじき返される打球が印象的だ。長打を含む3安打2打点。4月24日に放った涙のサヨナラ本塁打もまだ記憶に新しい。しかし、本来の小田の実力をもってすればこれほどの活躍はさして驚くことではない。関係者の多くは、「ケガさえなければ、小田の才能はこんなものじゃない」と言う。2度にわたるハムストリング手術。完治はしない。しかし小田の素晴らしさは、自分のケガを安っぽいドラマ仕立てのストーリーに着色することなく、地道に謙虚に現状と向き合っているところにある。もう真っ直ぐに伸びない脚をかばうために、練習前にはウオームアップ代わりにサドルを一番下まで下げた自転車にまたがる小田がトレーニング室にいる。一見、滑稽な光景だ。「泣き笑いだよね」と語る中垣トレーナーは、常に文句ひとつ言わない小田の姿をずっと見つめてきた。体の使い方などを貪欲にトレーナーに尋ね、良いと思ったことを取り入れる小田。同時に自分の打撃に頑固さを持ち、周囲からの根拠のない中途半端なアドバイスに迎合することは一切、ない。

 おとなしいと思われがちな性格だが、意外な一面もある。ファームでは、凡打して1塁まで全力疾走しなかった新人・中田に一喝した。「今の彼に大切なのは、誰かがはっきりと改善点を指摘してあげること。凄い選手になれる可能性があるんですから。チームのために気を抜かずにプレーすることが何より大事ですよね」。今日も小田は、1塁までの全力疾走を一度も怠らなかった。勝っても負けてもすべてを出し切る。当たり前のど真ん中にある心構えを皆が忘れずに、気持ち切り替え明日に挑もう。今日の悔しさを晴らすチャンスはまだまだある。もちろん、スウィーニーにも。

■スウィーニー投手 <6回、打者24、球数101、安打4、三振3、四死球3、失点5、自責5>

「今日は今シーズンで一番のデキでした。ボールのキレ、コントロール共にブルペンでのウオームアップのときから非常に調子が良かった。ゆえに細川への一球が本当に悔やまれます。できることなら、あの場面をもう一度やり直したい。接戦にしてしまったことが残念です。リリーフ陣が何とかせき止めてくれることを願っています。」

■梨田語録

「5回に3点追加して6-0になって今日はいけるかなと思った矢先に、あっという間だったね…F先発スウィーニーはテンポも良く、野手も良い流れの中、中盤までは得点をすることが出来たのに残念…5回初ヒット後の中村への四球かな、今日のポイントは…ただ今日は残塁が多かったね。あと1点取っていれば後の投手も楽だった展開の中、無得点に終わったのが、最後に響いたね…1点差に詰め寄られてからの継投はいつものパターンだったし、武田久も不運なヒットと送りバント、そして適時打とそつなく攻めた、Lの攻撃が一枚上だったね…今日は…明日の先発は期待のダースだけに、気持ちを切り替え試合に臨みますよ!!初登板だけれども十分通用する球を彼は持っているし、思い切り良くストライクゾーンで強打西武打線に立ち向かって欲しい!!」

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