2008.05.21 WED
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■広報レポート <投げられる喜び>

お立ち台の武田久投手

 それが全てではなかったにせよ、いつもは感じない腰の張りは、ダルビッシュ本来の投球を妨げた。7回88球での降板は、今季最短。昼過ぎに球場入りしたときから、浮かぬ表情だった。「腰がちょっと…」トレーナー陣から時間ギリギリまで出来うる限りの治療を受けての本番だったことを考えると、2失点の結果に満足しないのは彼自身のみだ。8回裏・逆転劇の源は、先発としての役割を十分に全うしたダルビッシュなのは紛れもない事実。通常、降板後には結果に関わらずはっきりとした口調でコメントを述べるエースも、今日ばかりは「多くは話せません。腰を言い訳にしたくない」と言葉少なだった。

 MICHEAL不在に、完投を目指したダルビッシュの予想より早い降板…ブルペンに課せられた責任が増した状況の中、ストッパー・武田久は今日も勇ましくマウンドに上った。これで3試合連続の登板。1点差の9回を三者凡退で締めると、「喉がカラカラです」と、一気にボトル水を飲み干してからヒーローインタビューに挑んだ。全く浮つかない涼しい表情でインタビューに答えた武田久。「与えられた場所で精一杯仕事をするだけです」とは、彼が決まって使う言葉だ。会見終了後にまたボトル水をカラにするあたり、人知れぬ疲労の蓄積と、リリーバーとしての重圧が相当なものであるのだろう。

 連投に一切の文句を言わないのには、理由がある。右ヒザ痛から思うようなピッチングが出来ず、「今年結果が出なければ…」と背水の陣で挑んだ2005年。ファームでの登板機会もままならず、与えられたチャンスは必ずモノにする覚悟だったという。「あの時ほど、一球、一球が自分の今後を左右すると思った時期はありません」右ヒザの悩みは、中垣トレーナーの動作解析とテーピング法の助けで和らいだ。シーズン途中の1軍昇格には、「これでダメだったら、チャンスは2度とない」と石にしがみつく思いだった。そして本当に限られた機会で、着実に実力を見せつけた。「だから僕は今、登板させてもらえるだけで幸せです。疲れた、連投だ、なんて関係ない。優勝できるなら、毎日でも投げさせてもらいたい」とは、本音かもしれない。昨年後半の激しいペナント争いの最中、連日登板が続いたときも同じセリフを口にしていた。

 ダルビッシュも、武田久には先輩として全幅の信頼を寄せる。言い訳をせず、自分への戒めを忘れないダルビッシュの姿勢は、武田久に影響された部分も大きいだろう。8回表に失点を喫しロッカーに帰ってきた星野が、「ダル、ごめんな」とつぶやいた。それを聞いたダルビッシュは、「全然です」と笑顔で返した。ファイターズのチームカラーを表しているようだった。カラー構築の一端を担ったのは、武田久の常日頃の言動と言っても、過言ではない。「MICHEAL不在の、仮のストッパー」なんかじゃない。武田久の存在価値は、計り知れない。

■ダルビッシュ投手 <7回、打者29、球数88、安打8、四球1、三振3、失点2、自責2>

7回、8安打2失点

「何とかリードした状況で、リリーフの方々につなげることが出来ればよかったのですが…走者を置いた場面で、抑えることが出来ればよかったです。」

■梨田語録

判定に抗議する梨田監督

「今日も全員野球で勝ちました!!F先発のダルビッシュは、いつもの調子ではなく、ボールも全体的に高めに浮いていた。本調子でない状態でも試合を壊さず、7回を2点に抑えるところはさすがエースですね。打線もそれにこたえ今日は2番の稲田の活躍が光りました!!チャンスメイクして、クリーンアップがここ1番に1本を出してくれました。1点差ゲームの試合が続き選手達もしんどいと思いますが、良く頑張ってくれてますね!!これからも厳しい戦いが続くと思いますが応援よろしくお願いします!!」

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