2008.05.29 THU
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■広報レポート <神宮の雨>

 激しくなくとも知らずに衣服を濡らすような雨が、今朝から降り続いていた。グラウンドコンディションは決して良好ではない。しかし、立教大時代に幾度となく上った思い出多き神宮球場のマウンドで、先発・多田野は7回1失点と申し分のない快投を演じた。

 9番目の打者としても気を抜かなかった。5回表。先頭打者の多田野は、スワローズ先発・石川に対し活路の見出せない打線を引っ張るようにセーフティバントを敢行。ボールを追った石川の足がもつれるほど絶妙な位置にころがし塁に出た。次打者・村田の送りバントにも全力疾走で2塁へ。また6回にはチャンスに確実に送りバントを決めるなど、随所のはつらつプレーが際立った。

 2日前の休日。多田野の足は、神宮球場に向かっていた。「僕は、野球を観るのも大好きなんです」と、母校でないにもかかわらず、明治大8季ぶりの優勝を見届けるため明治対法政戦を観戦。スタンドに一日中腰掛けていたせいで、翌日、多田野の顔は薄っすらと日焼けをしていた。「やっぱり神宮はいいですね。野球は本当に楽しい」と満面の笑みで話す彼の表情は、まさに「野球少年」そのもの。彼の人柄を表すエピソードがある。テレビ番組の取材で昔の写真を貸してほしいとの要請があると、わざわざ写真を取りに実家まで帰ってくれた。「何かに役立てていただけるのなら」と、差し出してくれた写真には、誇らしげに神宮のマウンドに立つ立教大の多田野の姿があった。「何としても神宮で投げたかったんです」と、六大学付属高を受験するも不合格。千葉・八千代松蔭高に進学し、学力で立教に進んだ努力家でもある。神宮への憧れが、多田野を常に突き動かした。

 真面目で礼儀正しい律儀な性格は、アバウトなコントロールを許さない彼の投球スタイルにも映し出されている。今日も与えた四球はたった2つ。これで今シーズン、22回投げ与四死球は3と抜群の安定感だ。「神宮で投げられると思うと、嬉しくて昨夜は眠れませんでした。今日は寝不足だったんです」と、多田野。好投は勝ち投手の権利に繋がらなかった。しかし、最後まで降り止まなかった神宮の雨が、スワローズ捕手・米野の視界から稲葉の飛球を奪い、結果ファイターズに勝利をもたらした。多田野の思いが通じたのかもしれない。

■多田野投手 <7回、打者25、球数101、安打3、三振3、四球2、失点1、自責1>

「今日はあまり調子が良くなかったのですが、その分、慎重にいこうという気持ちが逆に功を奏したのかもしれません。明日は神宮で投げられるのかと思うと、昨夜や嬉しくて眠ることが出来ませんでした。ですから寝不足でのマウンドだったんです。」

■梨田語録

「今日は、F先発の多田野、S石川の両投手の投手戦でしたね、悪コンデションの状態で良く投げました。多田野がゲームを作ってくれて再三チャンスをつくりながら、S石川投手にうまく抑えられ後一本がでない苦しい戦いでしたが、相手のミス(記録はヒット)を生かしての得点を守りきった全員野球の勝利!!全員良く頑張ってくれました。」

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