2008.08.17 SUN
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■広報レポート <崖っぷちから>

 武田勝の好投もむなしく、ファイターズがまたも僅差のゲームを落とした。8回を投げ4被安打と、武田は申し分のない投球を見せた。ホークス先発・大隣のピッチングが結果的にそれを上回る出来だったとはいえ、あと1本、オフェンス陣が何とかしたかった。

 打線が沈黙する中、ボッツが本塁打を含む3試合連続マルチヒットを記録し、ようやく軌道に乗ってきた。6月下旬に入団してからというもの、制球が良く変化球の多い日本人投手の攻めに困惑した。来日最初の50打席で三振が半分以上と、全く本来のバッティングが出来ない上に、守備の不安から代打出場が主になるなど、本人としては不本意な毎日であっただろう。一振りで結果を出さなければならないピンチヒッターは、来日間もない外国人選手にとって非常に難しい役割だ。その打席がその日の全てを印象づけ、評価は下降し、首脳陣の目も日に日に険しいものに変わっていった。今遠征前は、ファーム降格の危機すら迫っていたのも事実だ。「ようやく日本に慣れてきた」と気丈に振舞うボッツは、崖っぷちから起死回生の活躍をうかがっていたといえる。チームメイトはいつも彼を励まし続けた。少しだけ日本野球の先輩になるスレッジが丁寧に日本人投手の特徴を説明し、森本は自信回復を願ってメンタル面のアドバイスをくれた。普段、あえて多くを語らない福良ヘッドコーチも、「ひとつのプレーをきっかけに、絶対変われるはず」と彼に声をかけてくれた。ボッツ自身も受身にならず、スコアラーから提出されるレポートに何度も目を通した。「やるべきことをやるしかない。みんなの温かさが伝わってくるよ」と、どんなときも決して否定的なことを言わなかった人たちへの感謝を忘れなかった。「打って恩返しがしたい。」一部の冷たい視線に惑わされず、ただひたすらチャンスを待っていた。

 どんな選手にだって、たった50打席で結果を求められるのは、いくらプロとはいえ容易なことではないだろう。日本人選手と同じ事をやっていても、外国人は存在が目立ち、ゆえに評価はいつも厳しいものになる。過去を振り返っても、現ジャイアンツのラミレスは来日間もなく2軍落ちを経験しているし、かつてのホームラン王、ペタジーニも最初は非常に苦労したと、スワローズで共にプレーした荒井ファーム打撃コーチが以前語っていたのを思い出す。本人の粘り強さは勿論のこと、周囲がどれだけ辛抱し、理解し、見極められるかに明暗が分かれる。その点、ボッツは仲間に恵まれ、救われた。

 彼の望んでいた、「恩返し」出来る状況が少しずつ整いつつある。チーム事情は相変わらず厳しい。辛酸を舐めてきた大砲が、元気のないラインナップを何とか引っ張っていくことを願いたい。ボッツは、ようやくスタートラインにたどり着いた。今度は彼が、ファイターズを崖っぷちから救う番だ。

■梨田語録

「武田勝は安定した良いピッチングをしていたんですけど、四死球で出したランナーを得点されたんで悔やまれますね。H大隣も129球?、三振12個ですか、崩せるチャンスもあったが…ね!!明るい材料はボッツに当たりが出てきたし、攻撃にも少し粘りが出てきたので、後は、スレッジと稲葉が帰ってきたら楽しみですね。」

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